2024年11月22日(金)

使えない上司・使えない部下

2017年5月23日

「調布を、IT企業のメッカにしよう!」

 ビィ・フォアードを2004年に創業し、6年目になった頃に人を採用するようになりました。当時、雇ったメンバーのほとんどが今はマネージャーやリーダーとして、会社を支えています。私が、彼らのことを「使えない」と思ったことはありません。むしろ、ものすごくよくがんばっています。

「明治大学の部屋」の壁に、明治大学ラグビー部の主将だった吉田義人氏から贈られたウェアや、一緒に映った写真など

 私は彼らには厳しかったですよ、“山川道場の軍曹”と言われていましたから、うふふ…(笑)。「仕事では妥協をするな!」と教えていました。あの頃のメンバーのほとんどが、社会人の経験があまりなかったのです。

 だから、1つずつに指示をしたり、注意をしたりしていました。電話を切るとき、「ガチャ」と音を立てて切ると、「ダメだ!」と叱ります。そのようなところに、こちらの気持ちが出るんです。「お客さん」のことを「お客」と呼んでいたら、「お客さん、と言え!」と怒りました。ふだんから「お客」と口にしていると、お客さんを前にしたときに態度などに出るんです。

 今、マネージャーをしている男性は、その頃にうちの求人広告を見て応募してきたのです。彼はカナダで寿司職人をしていて、日本に帰国し、実家のある三重県にいました。面接の日は、三重から深夜バスを乗りつないで、ビィ・フォアード本社のある調布に来たのです。

 英語力は高いし、面接での印象もいい。「三重から、深夜バスを乗りつないで調布へ…」というこのセリフで、採用はもう決まりですよ。その気持ちを買いました。彼にはさっそく調布に住んでもらうために、その場で三重に住む父親に電話をしてもらい、賃貸マンションの連帯保証人になっていただきました。

 本社は創業時から、調布です。実は、渋谷や六本木へ移ることも一時期は考えました。社員が今は(国内で)200人近くになりましたが、調布よりも西に住んでいる人が結構いるのです。渋谷や六本木に移ると、通勤が大変になるかもしれません。

 今は、こう言っているんです。「アメリカのシリコンバレーもかつては、田舎だった。我々で調布を、IT企業のメッカにしよう!」と。うちには、外国人の社員もたくさんいますが、外国人への接し方で特別に気をつけることはありません。日本人の社員と分け隔てなく接することぐらいかな…。

 新興国で生まれ育った彼らは、ゼロからビジネスを始め、大きくしていく人に敬意を払う傾向があるのです。だから、私のことを遠い存在として見ることがあるようです。職場では頻繁に話したり、同じテーブルで同じものを食べたりするようにしています。

 国籍を問わず、社員たちにはこんなことも言います。「それでいいんだ?」。それで、本当にいいのか?という投げかけです。私には、目の前の仕事から逃げ、安易に妥協しているように見えるときがあるのです。「ダメダメな人間になっていく方向に進んでいるぞ」とも言います。

 仕事に限らず、私生活でも人生でも苦しくなると、逃げてしまう人がいます。逃げていれば、失敗して当然ですよ。前向きならば、やがてはいい結果になっていくものです。「使えない人」がいるとしたら、いつまでも逃げている人だと私は思いますね。

  
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