海野素央の Love Trumps Hate

2017年5月31日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

トランプとコミーの不思議な握手 

 2017年1月22日ホワイトハウスでトランプ大統領とコミー前連邦捜査局(FBI)長官は、実に不思議な握手を交わしています。2メートル3センチのコミー前長官は、長いリーチを利用して同大統領と離れた距離から手を出して握手をしたのです。ところが同大統領は握手をした右手を使ってコミー氏を自分に引き寄せて、次に左手で同氏をおさえてハグをしています。同大統領の過剰型握手とハグに対して、同氏は消極的な反応をみせています。

 2017年3月にコミー氏と会食をした友人は、当時の同氏の心境について米メディアのインタビューに答えています。この友人によれば、上の出来事に関して同氏が情報機関の長官として大統領と適切な距離を保ち、ホワイトハウスが及ぼす政治的影響力からFBIを守ることを考えたと言うのです。

 コミー氏は今月30日以降に議会で証言を行います。公聴会ではトランプ大統領との会話をメモした「コミーメモ」が証拠として提出されるのか、メモと証言の内容の中に「司法妨害」と判断できる材料があるのか、ロシアゲート疑惑を解明する手がかりが見つかるか、がポイントになります。それらに加えて、公聴会で同氏が友人に明かした正直な気持ちを語るのか、トランプ大統領が忠誠心を求めた時脅迫じみた言い方をしなかったのかについても証言するのか注目です。

弁護士チームの結成

 トランプ大統領の外遊中に、米メディアは同大統領がロシアゲート疑惑の対抗措置としてホワイトハウスの外に私的な弁護士チームを結成したと報じました。チームの中心人物がマーク・カソウィッツ氏です。カソウィッツ氏は同大統領の離婚問題からカジノ倒産及びトランプ大学詐欺疑惑まで顧問弁護士を務めてきました。

 トランプ大統領の私的なチームですから、納税者ではなく大統領自身が弁護士費用を支払うことになります。ちなみに米メディアによりますと、カソウィッツ氏の時給は1500ドル(約16万7000円)です。大統領就任からわずか120日余りでこのような私的な弁護士チームが形成されるのは異例中の異例です。

 トランプ大統領にはロバート・モラー特別検察官率いる捜査チームが最終的に自分を捜査対象にするという読みがあるのです。今後、同大統領は大統領として統治に時間を費やすよりも、ロシアゲート疑惑の解決に時間を割くことになるでしょう。

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