世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年6月7日

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 『環球時報』は、中国共産党の機関紙『人民日報』系の国際紙ですが、上掲社説では、北朝鮮の核・ミサイル実験、なかんずく核技術追求に強く反対するとの立場を強調しています。そして、「朝鮮半島は中国に近く、ここで戦争が起これば中国もリスクに直面する」と警告を発しています。これは中国の本音でしょう。

どこまでトランプ政権に貸しを作るか

 中国にとっては、北朝鮮の体制維持は、何よりも米韓への緩衝地帯としての地政学的意味合いを持つものです。したがって、北朝鮮の体制が維持されるとの大前提下で、どこまでトランプ政権に貸しを作るか、ということが具体的課題となっていると言えるでしょう。

 中国としては、北朝鮮の政権存続に決定的重要性をもつと考えられる石油輸出や食料品輸出についての制裁には手心を加えようとしているのではないでしょうか。

 上掲『環球時報』社説は、そのことを「中国はいかなる国に対しても、フル・スケールの制裁を科したことはない」と述べていますが、この指摘は、過去の中国の行動を見れば、決して説得力をもつものではありません。

 目下、トランプ政権にとっての最優先課題は、北朝鮮問題ですから、その他の諸課題――例えば、貿易問題や「一つの中国」問題など――は、取引材料として軽く扱われているように見えます。中国もまた、トランプ政権同様、北朝鮮問題以外の諸課題を取引材料として、自己に有利なように扱おうとしているようです。

 最近、北朝鮮の公的メディアはこのような中国の対応に対し、「我々の忍耐の限度を試そうと思うな」と中国を名指しで批判しましたが、これまでの北朝鮮の対応から見ると異例なことです。北にとっては、核・ミサイル開発をやめるという選択肢がない以上、中国からの制裁にどこまで、どのように抵抗するか、ということが次の課題となるでしょう。

  
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