世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年6月27日

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 トランプ政権下における対中国政策を全体的に評価するのは時期尚早でしょう。「一つの中国」には「縛られない」と就任前に述べ、蔡英文と電話会談をおこなったトランプ大統領は、就任後には、北朝鮮情勢の緊迫に伴い、「中国はよく努力している」と述べ、中国の嫌がる行動をとることを止めました。 

 その後、ごく最近に至って、米国は中国の反対することに対しても、適切に行動するようになったとして、ヘリテージ財団のディーン・チェンが二つの例――南シナ海での「自由航行作戦」および人権活動家の国外脱出――を挙げています。果たして、チェンの評価が妥当であるか否か、今後の米国・中国の行動を見る以外ありません。

 「航行の自由作戦」については、南シナ海のミスチーフ礁で行われた今回の米軍のデューイ艦による行動は、2012年以来行われていなかった真の意味での「自由航行作戦」と呼ぶに値するものであったとチェンは言います。それは、オバマ時代の「無害通航」が中途半端なものであったことと対比できると述べています。そして、中国はこのデューイ艦の南シナ海での活動に対し、強く抗議しました。米国がこのような「自由航行作戦」を今後とも続けるのであれば、日本としてはそれを歓迎し、側面的な協力を惜しむべきではないでしょう。

北朝鮮に対する中国の圧力

 北朝鮮に対する中国の圧力については、その影響力の行使はいまだ限定的であり、統計上は逆に中朝貿易量が増加している、という点はD.チェンの指摘どおりです。トランプとしては、北朝鮮による度重なるミサイル発射実験を踏まえ、中国の影響力に期待しつつも、同時に、中国の影響力の限界を認識させられつつあるというところかもしれません。

 それが、南シナ海について、中国の嫌がることでも行うという今回の行動に結び付いている可能性はあります。

 最近、中国政府に拘束されていた人権活動家Xie Yangの家族について、駐タイ米国大使館が彼らを国外脱出させることに成功しました。トランプにとって、人権活動家の扱いが、たんなる交渉の取引材料ではなく、米国の本来もつ普遍的価値についての外交の一端であるのかどうか、結論づけるのは、早すぎるようです。

 南シナ海での自由航行作戦、人権活動家の救出などが、トランプ政権の対中政策の主要軸となることを期待する人は少なくないでしょう。

  
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