2024年12月19日(木)

Wedge REPORT

2012年10月24日

 枝野幸男経済産業相は最近刊行した著書のなかで、脱原発を進めるための原子力国有化を説く。これと筆者の考えとは全く異なる。

 国家管理化といっても、各社から原子力部門を資本分離するようなことが良いとは考えていない。各社の事業として残しつつ、原子力部門に国家公務としての位置づけを明確に与えるイメージだ。もちろん、原発からの収益は各社に帰属させる。

 電力会社が、竣工、検査、再稼働、廃炉のタイミングごとに恣意的な政治判断を押し付けられることを防ぎ、国家自身が自らの責任において稼働や廃炉を実施するように仕向けるための国家管理化である。それでも再稼働を渋るなら、電力料金値上げを国家自身が実施しなければならないような制度設計を行う必要がある。

 このような「原子力改革」こそが、エネルギー政策史上に残る大仕事となるだろう。

◆WEDGE2012年11月号より

 

 

 

 

 

 
「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。


新着記事

»もっと見る