この熱き人々

2017年8月21日

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吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

 「女優になろうと決めたからには、中途半端でいたくなかった。ファンの方々には申し訳なかったけれど、とにかく一度ちゃんと女に戻ろうと決めたんです」

 その頃はスカートしかはかなかったと振り返った。ひとたび何かを決めると、ソコソコとか楽しみつつという手加減ができず、とことん突き進む。何事も真正面から真剣に取り組む。不器用な人なのかもしれない。それに超がつくほど真面目なようだ。

 「はい。私、本当に真面目なんです。だから融通がきかない」

 そう言って苦笑いするワンピース姿の瀬奈には、なぜか男っぽさが漂っているような気がした。それは、最初に感じた過去の記憶でも、男役の作り込まれた男らしさでもなく、瀬奈が本来持っている性格からにじみ出たもののように感じられる。

 

 「最近、スカートばっかりじゃなくて、またパンツもはくようになっているんです。ニュートラルな自分というか、自然な自分というか、居心地がいい自分でいられる。私にとって、今、たぶん最高の状態かな」

 4年前に結婚し、初めて安心して素の自分でいられる場所ができたという。16歳で家を出て寮生活を始めてから、ひとりで生き、ひとりで悩み、ひとりで乗り越えてきた。ずっとホームシックだったという瀬奈にやっとホームが戻った。最高の状態とは、自分が自分でいられて気持ちがくつろげる家庭という場を得たということだろうと思ったら……。

 「いえ、そういうことではなくて、外で不安なく戦える地盤ができたということです」

 やっぱり男前だ。今年は芸能生活25周年の節目。5月には舞台「エジソン最後の発明」に出演し、6月と7月は25周年記念コンサート、そして8月には小栗旬との共演でミュージカル「ヤングフランケンシュタイン」が待っている。演技、歌、踊りと、18年間宝塚で培った土壌に女優として花を咲かせる、オールマイティーな活躍が続く。

◎「ヤングフランケンシュタイン」公演日程
8/11(金)~9/3(日):東京国際フォーラムホールC
9/7(木)~9/10(日):オリックス劇場

せな じゅん/1974年、東京都生まれ。92年、宝塚歌劇団に入団、「この恋は雲の涯まで」で初舞台を踏む。05年、月組トップスターに就任。09年、同劇団を退団。以来「エリザベート」「シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~」など数々の作品に出演。2012年、菊田一夫演劇賞、岩谷時子賞奨励賞をダブル受賞。

  
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◆「ひととき」2017年8月号より

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