定年バックパッカー海外放浪記

2017年8月27日

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インド山中で2年間修業したイサムさん

 6月26日。リシュケシのカフェで邦人カップルと遭遇。イサムさんとマリさん夫婦は現在九州で有機野菜を栽培しているという。イサムさんはアラフォーであろうか髭をたくわえておりお2人ともインド風の生成りの衣装を自然に着こなしている。イサムさんは20年前に2年間北インド山中で修行生活して帰国し都会でヨガ講師をしていたが飽き足らず九州に居を移したという。

 お2人ともインドが大好きで豆とジャガイモのカレーを毎日食べても飽きることはないようだ。また現代文明についても批判的で熊本の家にはテレビも冷蔵庫もないが敢えて必要とは思わないとのこと。やはり異次元の世界に到達しておられるのであろうか。

銃声? が響き渡るローカルバスターミナル

リシュケシ最大のヒンズー寺院。巡礼者の宿泊所もある

 6月27日。リシュケシから英国領時代からの有名避暑地シムラーを目指して大移動。途中Dehradunという町のバスターミナルで7時間バスを待つ。大きなバスターミナルで長時間バスを待つ人々のために簡易宿泊所もある。日本円換算数百円でベッドを借りて多少は涼しい屋内で仮眠できる。しかし相当に傷んだシーツが蚤や虱の巣窟のよう思えてパス。屋外の木陰のベンチに横になり延々とバスを待つことにした。

 多少風が吹いてくるが熱風である。当然のことながらバスターミナルは年季の入った国産バスのディーゼルエンジンの排気ガスと散乱するゴミの臭気で覆われている。頻繁にバスが出入りするがそのたびに鉄砲の発射音のようにパーン、パーンと破裂音が響き渡る。

 最初はマフラーの破裂音かと思ったがバスの発着を観察しているとバスのタイヤが構内に無数に散乱している空ペットボトルを踏み潰すときに発生する破裂音であった。

ウクライナ出身の失業青年は出稼ぎファッションモデル

 夕刻7時頃にやっとシムラー方面行き夜行バスは発車。やたらに車内は蒸し暑い。座席は鉄製で固く熱いのでおしりに汗をかいて数時間でおしり汗疹ができてしまった。

 通路を挟んだ隣の席には長身の欧米青年で大きなボストンバッグ一つを抱えて狭い座席で窮屈そうに座っている。彼は諦めきったような顔をしていた。

 話を聞くとウクライナからインドに出稼ぎに来ているという。大学で電気工学を専攻したが故郷では就職先が見つからず失業していた。2年前にインドでモデルの仕事があると聞いて初めてインドにやってきた。その時は2カ月インド各地でファッションモデルの仕事をして稼いだという。

高台から見下ろす聖地リシュケシの町

ファッションモデルはタフな仕事

 今回も半年ほど仕事をする予定という。エージェントから携帯電話に指示が来て地方都市を転々としているという。Dehradunでは3日間冬服の写真を撮影して、さらにショッピングモールのファッションショーに出たという。空調の効かない狭い倉庫で着替えて熱いライトを浴びて写真撮影して、それから倉庫で着替えて再び写真撮影してという作業を1日中繰り返す。しかも時間が決まっていないので食事も合間を見てファーストフードで済ますことが多いという。

 今夜も夜行バスで移動して明け方に次の町に到着してそのまま写真撮影をする場所に直行。泊まるのもエージェントが指定するのは予算の成約から場末のホテルばかり。

 彼としては待遇の良い日本でモデルをしたいが残念ながら日本のファッションモデル市場では欧米人男性モデルはベビーフェイスが好まれるため彼のような髭の濃い武骨な容貌はニーズがないと苦笑いした。

⇒第5回に続く

  
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