2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年10月12日

 今度のイスラエルによるシリア空爆には驚かされましたが、イスラエルがどういう計算でやっているのかを、この論説はいかにもユダヤ人らしい発想で説明しています。

 シリア問題についての諸議論の中で、イスラエルの要素は看過されがちですが、イスラエルはシリアの隣国であり、イランの勢力がシリアを支配する状況は何としても避けたいと考えていることは明白です。

 今回の攻撃は、イランとシリアが報復行動を起こすかどうか、起こすとしてどれくらいの規模になるかで、中東情勢に大きな波乱が起きる発端になる可能性を秘めています。しかし、シリア、イラン、ヒズボラが今後どう出るかについては、今までのところ、大きな反撃には出ておらず、この攻撃は一過性の事件として終わる可能性が高いと判断して良いのではないでしょうか。イスラエルとしては、それなりの成果が出たので、今後攻撃を続行することはないでしょう。

 イランのミサイル技術は北朝鮮同様、着実に進歩しています。シリアの「イスラム国」の拠点に対し、イラン国内からの弾道ミサイルで攻撃したこともあります。飛行距離を考えれば、イランはテルアビブをミサイル攻撃できると思われます。

 イスラエルとシリア、イスラエルとヒズボラの間には、双方の攻撃がどこまで許容されるのか、双方がやり合いエスカレートした場合にも、落としどころをどうするかについて、双方に相場観のようなものがありました。しかし、イスラエルとイランとの間には、そういう相場観がないように思われます。イスラエルも相当計算をして行動しているのでしょうが、計算違いの危険は常に付きまとってきます。

  
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