2024年11月23日(土)

ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2010年10月4日

 これまでに行われた選挙はすべて予備選で、各党が各州で候補者を選ぶ選挙であるため、これまでに出た結果はすべて共和党内の選挙結果だ。これらの選挙では、共和党の「支配階級」に属する候補者(多くの場合、アラスカ州のリサ・マーカウスキー上院議員のような共和党現職議員)が次々と、ティーパーティーの反乱者や、完全な「独立系」を訴えてティーパーティー団体の支持を獲得した対立候補者に敗れている。

 一部の州では、勝った「ティーパーティー」候補者はただ単に、経済、財政問題で強硬路線を取る保守派に過ぎない。だが、かなりのケースでは、勝者は正直言って頭がいかれているとしか言えないような人物で、ほかの年であれば、11月の中間選挙で勝つ見込みがゼロ以下の実に馬鹿げた候補者だ。というのは、今現在犯罪で告訴されていない人なら、どんな民主党候補であれ勝てるに違いないからだ。

 例えば、デラウエア州の共和党上院予備選で勝ったのは、生き生きとした若い女性で、最近、数年前に「魔術に手を出したことがある」と認め、テレビ出演した際には、結婚していない人はほかの誰ともセックスすべきではない(言うまでもなく、「同性のセックス」は非常に悪いことだ)と語り、近年、まともな仕事に就いたこともお金を稼いだこともない人物だ。

 そんな彼女が、故ウィリアム・ロス氏のような偉大な共和党上院議員を輩出した歴史のあるデラウエア州で米上院議員の座を争う共和党の公認候補なのである。

 ネバダ州の共和党の公認候補は民主党上院院内総務のハリー・リード議員とかなりの接戦を繰り広げている。実際、世論調査によれば、社会保障は「社会主義」で、同じ理由からメディケア(高齢者と障害者向けの公的医療保険)を廃止すべきだと考えているこの人物シャロン・アングル氏が、実際に選挙でリード氏を破る可能性が十分あるという。

 これが「通常の」年であれば、極めて保守的な州でさえ、有権者の過半数が、メディケアや社会保障などの重要な社会制度が人生に欠かせないものではなかった保守的ダーウィン主義の神話の時代に時計の針を戻そうとする候補者を支持することはないだろう。

 しかし、今年はそれが起きる可能性がある。

 我々にまだ分からない大きな疑問の1つは、このような「態度」、ティーパーティー運動の動機となっている煮えくり返るような怒りが、どこまで民主党の「支持基盤」に浸透していくか、だ。

支持基盤に力を及ぼす中産階級

 世論調査を見る限り、「標準的な」有権者(自分自身では、どんな分派であれティーパーティーを支持するとは言っていない人)でさえ、オバマ政権は経済危機を「解決」し、完全雇用を取り戻すことができていないと考え、この点については基本的にティーパーティー運動の怒りを共有しているようだ。

 また、彼らは、寛大な見方をしても一部しか真実ではない共和党と保険業界のキャンペーンを受け入れる一方、オバマ大統領の公的医療保険が自分たちにとって良いものだという考えを否定しているようである。

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