2024年4月20日(土)

東大教授 浜野保樹のメディア対談録

2010年10月15日

石坂 それはもちろん金銭の話です。権利関係が難しいこともありますし。曖昧にはできません。

やっぱりイギリスの翳(かげ)が好き

浜野保樹教授

浜野 アーティストの、ここは好き、譲れない、といったことですと。

石坂 ああ。僕は個人的には、ヘヴィ・ミュージックが好きなんです。レッド・ツェッペリン、例えば。

 ジミ・ヘンドリックス(1942-1970)。ジェフ・ベック。キング・クリムゾン。ピンク・フロイド。日本だったらフラワー・トラベリン・バンド。徳間でやってたウエスト・ロード・ブルース・バンド。こういうのが好きなんですが、そればっかりやってるわけにいかないんで…(笑)

浜野 イギリスが多いですね。

石坂 ヘヴィ・ミュージックはイギリスで興ったし、ヘヴィ・メタルもイギリス。

 あの、必ず漂う陰影というのか、それがイギリスだと文芸にあるし、街にもあるから。

浜野 爛熟した文化…

石坂 オスカー・ワイルドだって、『サロメ』だけじゃなく童話も書いているけど、相当毒素が入っている。童話なのに。そこがいいですよ。暗くてね。

 (ヘヴィ・メタル元祖の1つと言われる)ブラック・サバス(Black Sabbath)なんて、バンド名は「暗黒の安息日」って意味だけど、床も抜けるかってくらい重いですよ、あのサウンドは。だから、正座して聞いてる。

 こういうのを聞いてると、いまのモバイル・ダウンロードなんて、ちゃんちゃらおかしくて。あ、こんなことオレが言っちゃいけない。

 ヘヴィ・メタルを聞くには、って但し書きつきです(笑)。

 チャカチャカしちゃって。ドラム聞こえないもん、携帯で聞く場合は。シンバルばっかりで。高音が強調されてるから。低音が出ない、要するに。だったらハワイアンの編成でいいかも。ドラムレスで。

ハスキンス少佐の家で見たもの

浜野 と、聞けば聞くほどディープな趣味をお持ちの石坂さんですから、ここらで歴史をさかのぼりますか。洋楽とのお付き合いのきっかけといいますと。

石坂 初めてこれはいい音楽だな、と思ったのが、エルヴィス・プレスリー(1935-1977)でした。


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