石坂 それはもちろん金銭の話です。権利関係が難しいこともありますし。曖昧にはできません。
やっぱりイギリスの翳(かげ)が好き
浜野 アーティストの、ここは好き、譲れない、といったことですと。
石坂 ああ。僕は個人的には、ヘヴィ・ミュージックが好きなんです。レッド・ツェッペリン、例えば。
ジミ・ヘンドリックス(1942-1970)。ジェフ・ベック。キング・クリムゾン。ピンク・フロイド。日本だったらフラワー・トラベリン・バンド。徳間でやってたウエスト・ロード・ブルース・バンド。こういうのが好きなんですが、そればっかりやってるわけにいかないんで…(笑)
浜野 イギリスが多いですね。
石坂 ヘヴィ・ミュージックはイギリスで興ったし、ヘヴィ・メタルもイギリス。
あの、必ず漂う陰影というのか、それがイギリスだと文芸にあるし、街にもあるから。
浜野 爛熟した文化…
石坂 オスカー・ワイルドだって、『サロメ』だけじゃなく童話も書いているけど、相当毒素が入っている。童話なのに。そこがいいですよ。暗くてね。
(ヘヴィ・メタル元祖の1つと言われる)ブラック・サバス(Black Sabbath)なんて、バンド名は「暗黒の安息日」って意味だけど、床も抜けるかってくらい重いですよ、あのサウンドは。だから、正座して聞いてる。
こういうのを聞いてると、いまのモバイル・ダウンロードなんて、ちゃんちゃらおかしくて。あ、こんなことオレが言っちゃいけない。
ヘヴィ・メタルを聞くには、って但し書きつきです(笑)。
チャカチャカしちゃって。ドラム聞こえないもん、携帯で聞く場合は。シンバルばっかりで。高音が強調されてるから。低音が出ない、要するに。だったらハワイアンの編成でいいかも。ドラムレスで。
ハスキンス少佐の家で見たもの
浜野 と、聞けば聞くほどディープな趣味をお持ちの石坂さんですから、ここらで歴史をさかのぼりますか。洋楽とのお付き合いのきっかけといいますと。
石坂 初めてこれはいい音楽だな、と思ったのが、エルヴィス・プレスリー(1935-1977)でした。