2024年11月25日(月)

こんな子 こんな時 こんな絵本

2010年10月21日

 「できること」の一つに、図書館や書店に行ってみよう、というのがあります。私も子どもが生まれてから、久しぶりに書店の児童書売場や図書館の児童書コーナーへ足を踏み入れて、ビックリしました。自分の記憶にあるものと比べ、どちらも広くて、明るい。何より、たくさんの本が並んでいて、どうやって欲しい本を見つければよいのか、困ってしまいました。書店も、年齢別とか、内容別など、工夫した配置になっているだけでなく、新しい本のあることが楽しいのですが、子どもを連れた身には、緊張感の抜けない場所でした。

おすすめ年齢に惑わされない

 それに比べ、図書館にでかけたときは、親子ともゆったりとした気分で、あれこれ見ることができるのが、楽しかったですね。絨毯敷のスペースで、私が目に付いた本を見せながらも、子どもにも、かなり自由にさせました(もちろん、マナーとルールは、守るようにしました)。何を根拠にしているのかわからなような本を選んだり、私なら絶対見つけないだろう本を出してきたり。そこにも、「赤ちゃんにおすすめの本」などの案内や情報はありましたので参考にはしましたが、本人が興味を示さなければ、またね、と無理強いはせず、書架に戻したものです。

 本に「~才向」とか、「読んであげるなら、○才~」「自分で読むなら、○才~」といった表記の付いたものもありますが、あくまでも目安、参考ということでよいと思います。「子どもが喜ぶと言われた本なのに、ちっとも関心を示さない」とか、「いつまでも、赤ちゃん絵本を読みたがる」など、まるで子どもが悪いような見方を耳にすることがありますが、それは、情報優先になっていないでしょうか。本に子どもを合わせるのではなく、子どもに本を合わせる、子どもに合った本を見つけることが大事なのだと思います。そして、今必要、今読みたい本がどんな本なのか、一番わかっているのは、子ども本人であるはずです。それを、具体的な形の本にする手助けをするのが、大人の役割なのではないでしょうか。

 『親子で楽しむえほん100冊』(メイツ出版)には、所謂子どもの本の定番・ロングセラーの作品が紹介されています。親世代が懐かしく思う本も、たくさん登場しているので、安心して本選びの参考にできます。実は、この本のリストを子どもと見ていたとき、「知らない、読んでない」という本がたくさんあったのです。親として反省する点もあったのですが、こうも思いました。「所詮、膨大な量の本の一角。出会う本は、人それぞれ。本の楽しさは十二分に承知しているようだし、これから楽しむこともできるのだから」と。

気負わず、成果を求めず
絵本を選んでみる

 「読んだ本のメモくらい残せばよかった」と最初に書きましたが、子どものために購入した絵本は、ほぼ全て残してあります。私自身が、小さいころの本が全く手元に残っていないで、悲しい思いをしたせいだと思います。引越しを繰り返す環境だったため、否応無く本は処分していく対象になるので、仕方のないことではありましたが、今でも悔しい思いと共に思い出す本が幾つかあります。それでも、物量としての「本」の存在は、家の中で一番の悩みの種という状況なので、先日も少々選別作業をしました。その中で、「その本は、おばあちゃんが、初めて買って読んでくれた絵本だから、この先読むことはなくても残して置いて」と子どもに言われて、書棚に戻した本があります。何を読んだとか、その内容は忘れてしまっても、読んでもらった嬉しさとか、楽しさ、感覚として残るものがありますが、本があれば、本と共にある思い出がより鮮明になること、本のまわりには、大切にしたいことがたくさんあると改めて感じた出来事でした。


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