2024年12月22日(日)

中国人観光客はいま

2017年11月13日

 インバウンドは観光やグルメだけでなく医療や美容、スポーツにまで広がっていることは当連載でもこれまで紹介してきた通りだ。とくに、医療インバウンドに関しては、今後大きな市場になっていく可能性が高い。インバウンドの医療通訳・翻訳を養成する日本医通佳日(ETEM)のCEOであり、一般社団法人・日中医療交流促進協会(JCMEA)の代表理事もつとめる徐磊(じょ・らい)氏に話を聞いた。

日本医通佳日代表取締役CEOであり、日中医療交流促進協会代表理事の徐磊氏

――株式会社と一般社団法人の両方をやられているのですね。まず、日本医通佳日の事業内容を教えていただけますか?

徐氏:爆買いの後、医療問題がクローズアップされてくるだろうと考えて、2015年に日本医通佳日を立ち上げました。中国は急激に経済成長しましたが、医療機関の数は限られており、常に混雑していて、医療水準の面でも日本に比べて遅れているといえます。また、最新の設備を導入している病院もあるのですが、まだ熟練したスタッフが十分いるとはいえません。そうした中、健康に対する意識の高い富裕層が欧米に健康診断や精密検査に出掛けるようになり、日本にも訪れています。しかし、日本のどの病院を訪れたらいいのかわからない、そして日本語で説明ができずに困っている中国人が多いことなどから、日本の医療機関の紹介や医療専門通訳・翻訳のサービスを始めました。

――具体的にはどのように紹介しているのでしょうか?

徐氏:医療関係者などのご紹介を経て、主に東京を中心とした医療機関、約20数軒と提携しています。この中には美容整形外科が半数以上含まれています。そこに、中国人の患者をご紹介しています。紹介の手段としては、弊社が中国語で発信しているウェイボーやウィーチャットを見て申し込んできた個人の方や、北京、上海、福建省にある弊社のビジネスパートナーから紹介されてくる方もいます。申込者の希望の日程や検査したい内容など詳細などをうかがって、その方の症状に適した病院をご紹介しています。

――どのような検査を希望する方が多いのでしょうか?

徐氏:一般の医療に関しては、いわゆる健康診断、人間ドッグ、がん検診、PET-CT、MRIなどの総合的な検査を希望する方が多いですね。中国である程度病気が判明していて、その分野でより詳細な検査を希望する方もいます。年齢は30~50代の男女が多く、出身地は北京、上海だけでなく、内陸部などさまざまな都市に広がっています。これまでの紹介実績は、たとえば、がん研有明病院、東京医科大学病院、甲状腺専門病院である伊藤病院(渋谷区)、さとう消化器内科クリニック(豊島区)、西台クリニック画像診断センター(板橋区)など、総合病院や有名専門クリニックを含め、多数あります。


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