ビジネススキルを活かして楽しむ脱力系子育てのススメ

2017年12月21日

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小川大介 (おがわ・だいすけ)

1973年生まれ。京都大学法学部卒業。学生時代から大学受験予備校、大手進学塾で受験国語の看板講師として活躍。難関中学、国公立大学医学部などへ多数の合格者を送り出す。2000年、さらなる学習指導の理想を追求し、中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1を設立。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。著書に『小川式[声かけ]メソッド』(宝島社)、『中学受験 基本のキ!』(共著:日経BP社)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『論理力は小学6年間の国語で強くなる』(かんき出版)など。今年10歳になる男の子の父。

 誤解されがちなのですが、講師たちは決して独りよがりなわけでもなく、自分を過信しているわけでもありません。

 これまで数多くの問題を解決してきて、生徒が上手くいくようにと常に考え続けていることが、目の前にある問題の解決をかえって遠のかせてしまうのです。

 問題や課題を解決していくプロセスは、3つの要素からできています。

 一つ目は、適切な現状分析。

 二つ目は、目標の適切な設定。

 三つめは、現状から目標達成に至るための行動の具体化。

 経験の浅い講師であれば、問題解決はこの3つの要素から成り立つことを教え、一つ一つ一緒に点検していくことで、解決のレールに乗せることができます。

 現状分析の仕方が分かっていないようなら、確認すべきポイントを伝えて実行につなげますし、目標達成に至るための具体的な行動が分からないなら、経験値の高い人が過去に効果のあった手法をいくつか挙げて選ばせることができます。

 これだけのことでも、手が打てていない状況を抜け出して、より良い方向に一歩踏み出せます。

ベテラン講師が相談下手になるメカニズム

 しかし、経験を積んできた講師の場合はそうはいきません。問題解決のプロセスについては熟知していて、3つの要素についても習慣的に行っているからです。

 現状分析はもちろんやっています。心の中には、「この子のことは、私が一番見えている」という思いがあります。

 目標も確認しています。そして少しでも早く解決してあげたいから、すぐに、具体的な手立てを考え始めています。

 手立てもその場しのぎの思いつきではなく、自分の経験から効果があると確信している方法を中心に、過去に成果のあった方法を組み合わせていきます。

「まずは読み方を理解することから始めるのが一番の近道だ」
「難関中の出題に対応するには、重要解法を順に訓練していくのが効果的だ」
「親が教えると自分で考える力がつかないから、距離を置いてもらう必要がある」

 といった具合に。

 過去に上手くいった経験があっての手立てなので、本人も迷いません。「これでいいはず」と信じています。

 問題解決のプロセスをきっちりやれているつもりなのです。

 こういう講師は、自分から相談することはまずありません。実際には問題の解決が出来ていなくても、目標の達成に近づけていなくても、相談しません。

 困っていないからです。

 生徒が上手くいっていない状況については、かわいそうだと思っていますし、なんとかしてあげたいと思っています。結果については困っています。

 しかし、自分ができることについてはやっているという自信がありますから、自分の行動には困っていないのです。「自分はどうしたらいいんだろう?」とは思わないのです。

 こういう講師が良く口にするのが、「でも、まぁ、やっていくしかないですから」という言葉です。

 やるべきことは分かっている。あとは、それをどこまで精度高く実行していけるかだ。

 ということですね。

 やることは決まっているのだから、相談するってなにを? だれに? 答えは決まっているんだから、一緒でしょ。という思いも心の中に秘めています。

 そして、相談しません。

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