では、キャプテンに就任しどんな変化があったのだろうか。
「U23の京谷和幸ヘッドコーチからは、おまえは背中で見せるタイプだから、言うべきことは言わなければならないが、あまり気にせずプレーで引っ張れとアドバイスを受け、日本代表の及川晋平ヘッドコーチからは、おまえは責任者としてチームを勝たせなければならないと言われました。それ以降、勝負に対する意識が強くなって、ほんの少しでもチームに弱気が見えれば檄をとばせるようになりました。徐々にですがキャプテンとしての立場から言えるようになってきたと思います」
また、人としての成長はメンバー全員とコミュニケーションが図れるようになったことを挙げている。以前は、仲の良い選手とだけ話をしたり行動することが多かった。ミーティングでも発言することはあまりなく、流れに任せてしまうことが多かったという。
しかし、キャプテン就任後は、逆に発言しない選手の気持ちがわかってしまうため、それぞれの意見を汲み上げ考えを一致させなければならないと思うようになった。代表として集まっている目的は勝つことである。そのためのコミュニケーションなのだと気づいてからは自然に話ができるようになったと古澤は振り返る。
また、自身の課題もよく見えている。
「僕のポジションはポイントガードです。ゲームの組み立や相手チームの崩し方など、今の僕ですと3手先くらいまでの中で選択肢をいくつか持つようにしていますが、もっと先の先を読めるようになることが課題だと思っています」
「自分が判断したことが誤りだった場合はまたすぐに判断し直して決断します。自分が失敗したと思った瞬間にチームは崩れてしまいますし、それを表情に出してもいけません。切り替えと判断の連続がポイントガードというポジションなので、先々の読みと選択肢が大切になってきます」
2017年の夏。古澤は東京で開催された国際親善試合「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP」で念願の日本代表に選出され、10月に行われた「IWBF アジアオセアニアチャンピオンシップ」で公式試合にデビューを果たしている。
最後にこれからの目標を聞いた。
「まずは東京2020に絶対に出場することです。ですが、そこは最終地点ではなく、あくまでも僕の目標は世界一のポイントガードになることですから、そこに向けていろいろな経験を積みたいし、東京パラを最後に引退する選手たちもいるでしょうから、一番強い日本代表としてその選手たちといっしょに戦いたいと思っています。そのメンバーに入りメダルを取ること以外は考えていません」
涼しげに語る姿に嫌味はない。むしろ自然に「世界一のポイントガード」を口にできるところが選手としての器なのかもしれない。
ただし、オフの古澤はなんともかわいらしい大学生なのである。
「オフのときはできるだけ自分の好きなことだけを考えるようにしています。いつもバスケや練習のことを考えてしまうと疲れてしまいますからね」
「趣味はスポーツ観戦で、今はまっていることは抹茶スイーツの食べ歩きです。美味しい抹茶は飲むのも好きです。抹茶系はみんな大好きで、抹茶の食べ歩きすることが自分のリズムになっていて好調を維持しています。抹茶にはまって2年くらいになります。抹茶スイーツ大好きです」
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