ポイントは体の動きを教えること
子どもが自分で行動できるようになるためには、「できているとはこういうことだよ」と、実際の体の動きを示してあげることが大切です。
たとえば、「18時までに宿題を終わらせておくんだよ」ということを伝えたい場合なら、「宿題をやる時ってどうするか、いまやってみようか」と声をかけ、一緒に演じてみるのです。
✔おやつを食べたいけれど、先に何が宿題だったか確認するために、ランドセルから連絡帳を取り出します。
✔連絡帳を開いて、どんな宿題がいくつあるか、チェックします。
✔宿題をするのに必要な教科書やノート、プリントを出して、机の上に置きます。
✔何分ぐらいでできそうか考えてみてから、時計を見て今の時刻を確認します。
✔「1時間ぐらいかかるから、17時になったら開始するぞ」と、開始する時刻を決めます。
✔思い出せるように、タイマーを16時55分にセットします。
✔おやつを食べて、遊んでいたらタイマーが鳴るので、すぐ片付けて机につきます。
✔「よしやるぞ!」と決めて、宿題を始めます。
✔一つ終わったら机のはしに整えて置いて、次の宿題にすぐ取り掛かります。
✔全部終わったら、連絡帳といまやった宿題とを見比べて、完成したことを確認します。
✔時計を見て、目標通り終われたか確認したら、「よしできた!」
玄関から始めて、リビングでの動き、机周りでの動きなどを実際にやってみて欲しいのです。「18時までに宿題を終わらせておくんだよ」というだけのことも、実際の体の動きに置き換えてみるとこれだけたくさんの行動の積み重ねになっているのですね。
言われなくても当たり前にできていることもあるでしょうが、いつもその場その場で考えてしまって時間をロスしていたこと、意識していなかったこともまた、子ども自身に見えてきます。
そして、「できるってこういうことか」と、安心感をともなった理解に到達できます。
大人は経験値が豊富ですから、「~~した後に、~~してくださいね」と言葉で説明されるだけでも、自分の知識と想像力によって何をどんな順番でやればいいのかイメージできます。実際に自分が行動して完了できた感覚まで、イメージすることができます。(大人でも、説明だけではなかなか実行できない場合、このイメージができていない可能性が高いです)
教えることに手間がかかっても大丈夫な理由
子どもの場合は、何をどうすればいいか分かったとしても、それだけでは、いざやろうとしても動けません。実際に動いてみて、どんな感覚なのか、どれぐらい時間がかかるのか、どれぐらいの疲労感があるのかといった、実体験を持たせてあげることが大切なのです。
でも、共働き家庭の忙しい毎日の中で、子どもにしてほしいことの一つひとつにそこまで手をかけて教えていたら、ますます時間がなくなってしまいそうですね。どこが時短なの? となりそうです。
でも大丈夫です。矛盾するようですが、時間をかけて教えるから「時短」になるのです。
なぜなら、子どもたちの日々の行動の8割以上は「ルーティン」だからです。
✔学校の準備をする
✔宿題をする
✔片付ける
✔習い事にいく、帰る
✔予定を確認する、修正する
✔遊ぶ時間を決める、決めた時刻まで遊ぶ
など。
「これならできる」と本人が納得と安心を得られるようになった行動を一つ作れば、それが繰り返されていきます。最初に教える時は時間も労力もかかりますが、あとは行動が続くようにメンテナンスしていくだけで大丈夫になります。