2024年11月22日(金)

ビジネススキルを活かして楽しむ脱力系子育てのススメ

2018年4月6日

愛情に変わりはない、違うのは物理的な条件

 子育てと子どもの学習に関するご相談に数多く乗ってきた立場から言いますと、子どもに注ぐ愛情も子どものことを考える思いの総量も、専業主婦家庭と共働き家庭とで差はありません。どちらもとても深く、大きいものです。

 ただ、物理的な状況には大きな違いがあります。

 家庭にいられる時間が長ければ、子どもに代わって動いてあげられることも多くなりますし、一日の生活の中での子どもの様子を直接見て気づけることも、多くなります。

 公立小学校などは、高度成長期に作られた古い体質がいまだに残っていますから、連絡を取り合うにも共働き世帯では、仕事とバッティングすることだらけです。

 その事実は事実としてとらえた上で、知恵と技術で乗り越えていく。

 その取り組みを「時短子育て術」としてお伝えしていきたいと私は考えています。

 物理的に子どもと一緒にいてあげられる時間は短くても、親の愛情が子どもに十分に届き、子ども自身が無理なく自立した力を身につけていける、子育ての知恵とテクニックを集め、共有していきたいのです。

 共働き世帯だから子育てに不利だ、苦労するんだ、という考えは、専業主婦家庭を前提にした子育て観でしかありません。過去の経験則が専業主婦中心だったというだけです。

 そして今、私たちの社会は、共働き世帯を前提にした子育てモデルを創り出し、実践例を積み重ねていくことを必要としています。

「共働き家庭かつ塾通いする子」が急増している

 総務省統計局によると、共働き世帯の数は1997年以降つねに専業主婦世帯の数を上回り、2014年には夫婦世帯の約62%が共働きとなったそうです。

 さらに子育て世帯に限れば、夫婦と子どもがいる共働き世帯の数は2000年には557万世帯でしたが、2016年には690万世帯と25%も増えています。しかもこの間少子化は進んで是子育て世帯全体の数は減ってきていますから、子育て世帯に占める共働き世帯の比率は、まさに急激に高まっているわけです。

 現に東京都が行った調査では、平成14年度に40.5%だった共働き世帯の比率が、10年後の平成24年には53.8%と、実に13%増となっています。

 身の回りを見ても、共働きの方が本当に増えたなと実感するわけですが、都市部で子育てされているご家庭にはさらに難しい問題がのしかかってきます。

 子どもの受験、とくに中学受験との付き合いです。

 この連載を読んでくださっている方もかなりの方が当てはまるのではないでしょうか。

 首都圏での中学受験生は、少子化の進行や不況の影響を受けじりじりと下がりつつも60,000人を割ることはなく、逆にここ3年間は増加が続いています。人気校の受験競争は以前よりも厳しくなっているという事実があります。

 つまり、塾での勉強、家庭での宿題を求められる子どもの比率は高まっています。

 ということは、「共働き家庭」かつ「塾通いをしている子」がますます増えているということです。

 ですから冒頭のような親子のバトルも、今まで以上に目立つようになってきています。

 こうした状況に対する私の提案は、「子どもたち自身にがんばってもらいましょう」というものです。


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