2024年12月22日(日)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2018年5月1日

「ヘルシー」の中身は個人によってまったく異なる

食材や栄養素だけではなく、調理法でも「ヘルシー」という表現が使われることがある。
例をあげると「蒸す」「レンジする」「網焼きにする」等々。 
「揚げる」や「油で炒める」との比較論らしい。

くどくなって恐縮だが、カロリーをとりすぎて健康を崩している人にとっては、油を使わない「蒸す」や「レンジする」という調理法はヘルシーかもしれない。
栄養素によっては(脂溶性のビタミンなど)油で調理することによって消化・吸収率がよくなるという成分もある。
「油を使わない調理法がヘルシーだ」ということではない。

もうお気づきだと思うが、料理や食材が「ヘルシー」であるかどうかは、食べる人によって異なる!
だれが食べるかを問わずに、食べ物自体について「ヘルシーであるか・そうでないか」という評価をしてはならない。
さらに付け加えれば、「だれにとってヘルシーなのか」と同時に「どのくらいの量ならヘルシーなのか」も考えなければならない。

そのためには「現在の自分自身の栄養状態を正確に知ること(アセスメントという)」から始めなくてはならない。
学術的に「自分の食事内容がどういうものか」を知る方法はいくつかあるが【※4】、ビジネスパーソンが日常生活でそれをするのは限りなく不可能に近いだろう。
しかし何もせずに、世間で「ヘルシー」といわれているものを食べているだけでは健康にはなれない。
とりあえず前回のコラム【http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12359】で書いたように「自分の食事を記録する」ことを始めよう。
まずは事実を見つめることによって、今後の方針のヒントが見えてくるはずだ。
これはあなたたちが毎日やっている仕事と同じはず。

今回、ここで私が指摘したことを、食生活を報ずるマスコミ関係者や料理研究家たちが気づいているとは、とうてい思えない。
むしろそういうことは深慮せずに(無邪気に?)「ヘルシー」という言葉を使っていることのほうが多いはずだ。
せめてこのコラムの読者のビジネスパーソンにだけは、それにつられて(ヘルシーだと勘違いさせられて)自分の健康を崩すことのないようにしてもらいたいと願うばかりだ。

【※4】http://www.nutrepi.m.u-tokyo.ac.jp/dhq/manual/knw06.pdf

  
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