2022年8月9日(火)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2018年5月1日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

「ヘルシー」の中身は個人によってまったく異なる

食材や栄養素だけではなく、調理法でも「ヘルシー」という表現が使われることがある。
例をあげると「蒸す」「レンジする」「網焼きにする」等々。 
「揚げる」や「油で炒める」との比較論らしい。

くどくなって恐縮だが、カロリーをとりすぎて健康を崩している人にとっては、油を使わない「蒸す」や「レンジする」という調理法はヘルシーかもしれない。
栄養素によっては(脂溶性のビタミンなど)油で調理することによって消化・吸収率がよくなるという成分もある。
「油を使わない調理法がヘルシーだ」ということではない。

もうお気づきだと思うが、料理や食材が「ヘルシー」であるかどうかは、食べる人によって異なる!
だれが食べるかを問わずに、食べ物自体について「ヘルシーであるか・そうでないか」という評価をしてはならない。
さらに付け加えれば、「だれにとってヘルシーなのか」と同時に「どのくらいの量ならヘルシーなのか」も考えなければならない。

そのためには「現在の自分自身の栄養状態を正確に知ること(アセスメントという)」から始めなくてはならない。
学術的に「自分の食事内容がどういうものか」を知る方法はいくつかあるが【※4】、ビジネスパーソンが日常生活でそれをするのは限りなく不可能に近いだろう。
しかし何もせずに、世間で「ヘルシー」といわれているものを食べているだけでは健康にはなれない。
とりあえず前回のコラム【http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12359】で書いたように「自分の食事を記録する」ことを始めよう。
まずは事実を見つめることによって、今後の方針のヒントが見えてくるはずだ。
これはあなたたちが毎日やっている仕事と同じはず。

今回、ここで私が指摘したことを、食生活を報ずるマスコミ関係者や料理研究家たちが気づいているとは、とうてい思えない。
むしろそういうことは深慮せずに(無邪気に?)「ヘルシー」という言葉を使っていることのほうが多いはずだ。
せめてこのコラムの読者のビジネスパーソンにだけは、それにつられて(ヘルシーだと勘違いさせられて)自分の健康を崩すことのないようにしてもらいたいと願うばかりだ。

【※4】http://www.nutrepi.m.u-tokyo.ac.jp/dhq/manual/knw06.pdf

  
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