上記のデイヴィッドソン提督の発言は、常識であり、前任となるハリー・ハリス現太平洋軍司令官との政策上の差異は、日米関係上はさしあたりないのではないかと思う。日米安全保障関係の継続性が期待できる。
トランプ政権になってからは、アジア・太平洋ではなく、「インド・太平洋」という言葉が、この地域を表現する時に使用されるようになった。この点は、デイヴィッドソンでも踏襲された。日本が協力すべき相手国としても、韓国、豪州、アセアン諸国の他、インドが挙げられている。日米協力の範囲が広がったと言える。
米国の議員からは、日本の経費負担に関する質問が出たが、デイヴィッドソンは、日本は十分に経費を負担していると応じ、かつてのような「ただ乗り論」が出る余地はもはやなさそうである。しかし、最後にデイヴィッドソンが述べたように、日本の防衛能力向上のための投資、すなわち、米国製の防衛装備品を購入してほしいというニュアンスは、感じ取られた。これは、Make America Great Again (MAGA)を標榜するトランプ大統領の考えとも一致し、日本が高価な防衛装備品を購入してくれれば、米国の防衛産業は潤う、との議論で、今後、その方面での要望や圧力が高まることは覚悟しなければならないだろう。
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