2024年11月23日(土)

WEDGE REPORT

2018年5月5日

首席補佐官の解任も

 大統領は“魔女狩り”と非難するロシア・ゲートの捜査を頓挫させるため、モラー検察官や、モラー氏を監督する立場にある司法省のローゼンスタイン副長官を解任するタイミングを図っているとされる。だが、ここにきて首席補佐官のジョン・ケリー将軍の解任が近いとの説が急浮上してきた。ニューヨーク・タイムズは「政権を去るのは時間の問題」と指摘している。

 解任の観測が強まったのは、NBCテレビが4月30日、ケリー氏がこれまで何度かにわって大統領のことを「馬鹿者」と呼んでいたと報じたからだ。天才だと公言してはばからない大統領は馬鹿扱いされるのが我慢できない。国務長官だったティラーソン氏が解任されたのも大統領のことを「間抜け」と呼んだことが明らかになったことが大きい。

 ケリー氏は国土安全保障長官として政権入りしたが、プリーバス前首席補佐官が解任された後、大統領に請われて首席補佐官に就任し、混乱していたホワイトハウスの立て直しに取り組んできた。混乱の最大の要因は指揮系統がバラバラに乱れていたことだが、ケリー氏は大統領と会う際には、いかなる人物であっても首席補佐官を通すよう徹底し、秩序を回復した。

 しかし、大統領の娘イバンカ補佐官やその夫のジャレッド・クシュナー上級顧問がこれに反発。特にクシュナー氏は最高機密情報へのアクセス権を取り上げられ、ケリー氏との対立が続いていた。大統領も厳格なケリー氏の規律重視を嫌い、同氏を避けるようになっていた。

 ケリー氏は特に、大統領選挙戦当時のトランプ陣営の取り巻きが大統領に接近するのを規制しようとしたが、大統領が元選対本部長のコーリー・ルワンドスキ氏らを公然と大統領執務室に呼び入れたり、遊説に大統領専用機で同行させたりしてケリー氏との関係が悪化していた。

 ケリー氏は「馬鹿者」報道が出た後に声明を発表。大統領とは強い関係で結ばれているとしてこの報道を否定した。ケリー氏の発言をリークしたのはクシュナー氏周辺と見られている。しかし、リークがなくても大統領とケリー氏の関係は「もはや修復不可能」という見方が強く、ケリー氏が政権を離れるのは先けられない状況のようで、米朝首脳会談を前に、ホワイトハウスの混乱は一段と深まりそうな様相だ。

  
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