Washington Files

2018年5月8日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

院共和党幹部の気持ちは複雑

 今回トランプ大統領が、共和党議会指導者たちや共和党全国委員会(RNC)幹部たちに対し、11月中間選挙の中でとくに下院での戦いを最優先とするよう指示したのは、まさにこうした背景があるからだ。

 というのも、大統領弾劾では、まず下院司法委員会において、弾劾審議開始の「妥当性」について検討し、妥当と判断された場合に、下院本会議での弾劾審議に入る、という段取りとなっているが、いずれの場合も単純過半数で結論が出されるため、ロシアゲート事件の場合も、今年11月以降、民主党が下院を制するとすれば、トランプ氏の弾劾(起訴)は決定的となるからにほかならない(ニクソン大統領の場合は、下院司法委員会が弾劾審議を妥当とし、下院本会議に勧告した段階で、辞任発表にいたった)。

 最近の全国民主党支持者を対象とした世論調査によると、全体の80%以上が「トランプ弾劾支持」を表明しており、民主党有力議員の一人マクシン・ウォルターズ女史が地方遊説で「弾劾が11月選挙の最大テーマだ」と訴えるなど、中間選挙の民主党候補の多くがトランプ攻撃のボリュームを上げてきている。

 つい先月末、大統領はミシガン州の遊説先で「われわれ(共和党)は下院を守らなければならない。なぜなら、マクシン・ウォルターズが『トランプを弾劾しよう』といって回っているからだ」と語り、共和党支持者の結束を呼びかけたばかりだ。

 これを受けて共和党全国委員会のジャストン・ジョンソン政治部長もAP通信とのインタビューで「今のわが党のナンバーワン・プライオリティは下院を死守することだ。下院で勝利しなければならない」と強調している。

 しかし、一方の上院共和党幹部の気持ちは複雑だ。

 ニューヨーク・タイムズ報道によると、ミッチ・マコーネル上院院内総務は先月、ホワイトハウスで大統領との夕食に臨んだ際、「共和党上院の将来はトランプ大統領の態度いかんにかかっている」として、11月をにらんで大統領が各州の共和党上院議員候補支援にも乗り出すよう要請した。また、この夕食に同席したホワイトハウスのマーク・ショート議会担当部長も、「下院での戦いはすでに絶望的」との見解を述べたという。

 こうした状況を踏まえ、共和党は夏休み明けから11月投票日にかけての選挙戦最終段階で、選挙資金の投入の仕方、大統領の遊説スケジュールなどをめぐって上下両院議員たちの動きが注目されることになる。

  
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