ミツバチの減少が世界的な問題となっている。農薬が原因、とも環境ホルモン悪玉説もあるが、一つだけ確かなことはミツバチが絶滅の危機に瀕することで果物、野菜などの受粉がうまく行かず今後農業に大きな被害をもたらす可能性がある、ということだ。
こうした事態に備えるため、現在米国で進められているのがヘリ型のドローンにより花粉を散布する、という方法だ。果実の受粉には人手を用いてひとつずつ行う、という方法もあるが非常に手間と時間がかかる。これをドローンにより一気に解決させよう、という方法だ。
今年5月、ニューヨーク州シラキュースにあるリンゴ農園が世界初のリンゴ果実のドローンによる受粉に成功した、と発表した。この農園、ビーク・アンド・スキッフリンゴ果樹園では農業用ドローンの新興企業、ドロップコプター社のドローンを用い、果樹園の一部にドローンでの花粉散布による受粉を行った。
ドロップコプターはサンフランシスコの企業で、2015年に最初の受粉用ドローンのプロトタイプを完成させた。今年になりニューヨークのジニアスNYアクセレレーターから25万ドルの投資を受けることに成功した。元々はカリフォルニア州の特産品でもあるアーモンド、ピスタチオなどの受粉を目的に設立された企業だが、試験的運用では全体の15%程度の受粉に成功したという。ジニアスからの投資はリンゴなどニューヨーク近郊の特産品の受粉を目指したもので、5月の散布が第1回目の試みとなった。
ドロップコプター社によると、ミツバチの減少により今後ハチを使った受粉は非常にコストのかかるものになる。10年間でコストが倍増する、という調査結果もあるほどだ。そこでドローンを導入することにより、コストを抑え確実な受粉を提供するのが目的だ。