あなたの周りでも、「昼間は家でドラマ漬け」という専業主婦が意外と少なくはないのではないだろうか。事情は様々ではあるものの、働く意欲とスキルがある主婦ならば、そのような状況は非常にもったいない。問題の背景と、その解決策を、「人材業界の掟破り」とも評された株式会社ビー・スタイル代表取締役の三原邦彦氏が語ってくれた。
――能力がある、子育てが一段落して多少時間がある、といった30~40代の女性が、働かずにドラマ漬けになっているのは非常にもったいない、とお考えとのことですが。
三原邦彦氏(以下三原氏):日本の女性で有償労働に携わっているのは45%にとどまっており、学生や高齢者を含めて3500万人の女性が働いていないという状況です。この中で、生産年齢人口の専業主婦だけを取り出しても1200万人になります。今退職年代に入りつつある団塊世代の有償労働人口は500万人ですので、この1200万人のうち半分程度の専業主婦たちが働けば、あっという間に団塊世代の退職分を補填できます。専業主婦が働かないことについては、もちろん様々な事情があることは重々承知していますが、やはりもっと社会に貢献すべきではないかとも思うのです。
家事や子育てに注ぐ時間を考慮すると、フルタイムでは働けない彼女たちの働き口は、家の近所のスーパーのレジ打ちや軽作業のパートなどが主になります。仕事に貴賎はありませんが、せっかくホワイトカラーとして積んできたキャリアが活かされないのは、本人にとっても日本社会にとっても大きなマイナスです。そこで、家庭との両立が可能になるように、短日数・短時間でオフィスワークに従事できる仕事を提供するため、ビー・スタイルを起業しました。
――ビー・スタイルの主要事業である、主婦の「パートタイム型」人材派遣事業を始められた経緯と、派遣の仕組みを詳しく教えてください。
三原氏:大学卒業後、人材会社のインテリジェンスに就職しました。そこで担当していた優秀な女性たちが、結婚後に家庭や育児との両立のためフルタイムで働けなくなるという現実に直面し、非常に悔しい思いをしました。もちろん、家庭も子育ても大事にしてほしいのですが、自分のやりたいことやキャリアのためにも時間を費やせるようになれば…と考え、主婦の多様な働き方を可能にしたいと思い、起業しました。
ビー・スタイルに登録している主婦の方々は現在約4万5000人で、平均就労年数は12年~13年と、非常に高いスキルを有しています。しかも、扶養枠内で働きたいという方が多いので、企業にとってもフルタイムの派遣を雇うよりコストダウンが可能です。また、「必要なとき」だけという雇用スタイルが可能ですので、フルタイムで派遣を雇う体力はないけれども、正社員の業務を軽減したい、などといった中小企業の希望が叶えられます。
ある中小企業では、月末~月初に発生する書類作成業務によって、社員の主要業務に割ける時間が圧迫され、残業が発生し、モチベーションが下がる…という悪循環が生まれてしまっていました。その業務専任の社員を雇うほどの業務量というわけでもなく、第一それではコストがかかり過ぎる。そこで、比較的安価なコストで済む学生アルバイトを雇ったのですが、業務の内容はもちろん、それに付随するPC技術や電話・来客対応などの「仕事の基本」から教えなければいけないという手間がかえって発生してしまい、うまく機能していませんでした。
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