富士山頂は何県か
富士山の山頂は、何県にあたるかご存知であろうか。富士山麓に接する県は太平洋側は静岡県、北側は山梨県である。では、どちらかに属していると思うのが自然であるが、実は登山道を除く八合目〜富士山頂は、静岡県富士宮市の富士山本宮浅間大社の私有地、もっというと神社の「境内」であり、山梨県にも静岡県にも属していない特別な場所なのである。これは公然の話で、2014年1月に行われた富士山世界文化遺産協議会後の記者会見において、静岡県と山梨県の両知事が、富士山頂は県境を定めないということを明言しているのである。また、国土地理院のネット地図においては富士山頂の住所表示については非表示となっている。
富士山火口は巨大な賽銭箱
かつて富士山信仰が盛んだった時代の富士山の火口は、巨大な賽銭箱であった。江戸を始め全国から登拝で山頂までたどり着いた富士講の信者たちは登頂の無事を祝い、またご利益を祈って山頂に金銭を投げ入れる習慣があったようである。しかし、現在は自然保護の観点からお金などは投げ入れてはいけないことになっている。ひとつ、例外を挙げると、浅間大社奥宮にてお祓いを受けお神酒を注いだ素焼きのお皿(カワラケ)。火口に投げ入れると厄除け祈願になるという言い伝えがあり、投げ入れを特別許可されているものである。
標高3776m、日本最高峰にして独立峰の富士山火口。その壮大さと美しさ、荘厳さは見る者を圧倒する。山頂は時に風速60mを超える風が吹く。この日の富士山の天候は快晴。風速は1.5m〜3mという嘘のような好天に恵まれ、この貴重な映像を撮影することができた。富士講の方々とともに、まさにお山の神様に許され、守られたような奇跡の1日であった。
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