2024年12月23日(月)

前向きに読み解く経済の裏側

2018年10月22日

 今回は『老後破産しないためのお金の教科書 』の著者である塚崎が、非正規労働者こそ厚生年金に加入すべきだ、と説きます。

(takasuu/Gettyimages)

日本の公的年金制度は2階建て

 日本の公的年金制度は、20歳から60歳までの全員が加入する国民年金と、サラリーマン(公務員、サラリーウーマン等を含む。以下同様)が加入する厚生年金の2階建となっています。

 国民年金の加入者は、3つのグループに分けられます。サラリーマンは、厚生年金保険料が給料から天引きされたことで、国民年金の保険料も支払ったものとみなされます。厚生年金保険料は、高額所得者を除いて年収の2割弱ですが、半額は勤務先の負担なので、個人負担は年収の1割弱です。

 サラリーマンの専業主婦は、国民年金保険料を払わなくても、夫が厚生年金保険料を給料天引きされたことで、払ったとみなしてもらえます。もっとも、パート等の収入が年間130万円(勤務先等によっては106万円の場合もある。以下同様)以上になると専業主婦とみなされず、厚生年金保険料を天引きされることになります。

 そこで、パートで働いているサラリーマンの専業主婦の多くは、年収が130万円に達しないように働く時間を調整しているわけです。「130万円の壁」と言われている現象です。それ以外(自営業者、失業者、非正規労働者等々)は、毎月の国民年金保険料を支払う必要があります。国民年金の保険料は定額で、年額20万円程度です。

非正規労働者も社会保険に加入した方が得

 独身の非正規労働者は、国民年金に加入していると年間20万円ほどの国民年金保険料を払わなくてはいけませんが、一定の条件を満たすと年収の1割弱を厚生年金保険料として天引きされるだけで済みますから、年収130万円の場合、年間の年金保険料が12万円ほどで済みます。

 ちなみに、非正規労働者が社会保険に加入するための一定の条件としては、ある程度以上の時間をパート等として働いて年収が130万円を超えることが必要ですが、それに加えてそもそも勤務先が社会保険に加入している必要があります。勤める前に、そこは確認しておきたい点ですね。

 しかも、厚生年金に加入していると老後に受け取れる年金が増えるのです。年収130万円で1年働くと、老後の厚生年金が毎年約7000円受け取れます。40年働くと、28万円、月2万円強が受け取れますから、チョッとした小遣いが死ぬまで受け取れるわけですね。


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