2024年11月22日(金)

イノベーションの風を読む

2018年11月6日

自家用車が共存するMaaS

 MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)とは、自動車や自転車などの移動手段をモノとして販売するのではなく、サービスとして提供するという概念やプラットフォームを意味します。ユーザーから見れば、(例えば)自動車を保有するのではなく、サービスを利用することによって共有することになります。それは、確実に自動車の販売台数を減らす結果につながります。Whimを提供するMaaS Globalは「自動車の所有の終わり」というスローガンを掲げています。ちなみに、トヨタはMaaS Globalに出資もしています。

 my routeにはGoLAと同様に、自家用車や自分の自転車で移動するという選択肢も表示されます。福岡市の実証実験では、自家用車利用時のための駐車場予約アプリakippaも連携します。トヨタは、自家用車が共存できるMaaSを自ら提供し、それをデファクトにしようと考えているのかもしれません。

 トヨタは、カーシェアリング事業への参入も発表しました(11月1日)。「クルマをつくる会社」から「モビリティカンパニー」への変革に大きな鍵を握るのが、販売ネットワークの変革だとして、東京ReBORNという旗印のもと、チャネル制を廃止して東京直営店を「ひとつのトヨタ」に統一すると表明しました。そのネットワークを利用して、2018年12月よりカーシェアリングサービスのトライアルを中野区の20拠点程度で開始し、2019年2月からは、東京直営店20店舗程度を活用し都内全域に展開するとのことです。

 日本におけるカーシェアリング市場は、2020年には300億円規模に達すると見られています。タクシー の1.6兆円、レンタカーの6000億円という市場には遥かに及びませんが、対前年20%ほどの右肩上がりで急速に成長しています。会員数は132万人、車両台数は3万台に達しており、車両ベースでは世界でも最大規模の市場です。

日本のカーシェアリング 市場(エコモ財団資料より作成) 写真を拡大

 日本だけでカーシェアリング サービスを展開する、コインパーキングのタイムズ24は、保有車両台数(1.7万台)で世界最大のカーシェアリング事業者です。車両の駐車スペースというリソースを活用できることが大きな強みになっています。

 レンタカーやカーシェアリングはMaaSに必要不可欠なモビリティサービスですが、トヨタは自前のサービスだけをサポートするのでしょうか。MaaS globalやロサンゼルス市のようにMaaSオペレータ専業でない、ハードウェアのメーカーであるトヨタは、グーグルではなくアップルのようなプラットフォーマーを目指しているのかもしれません。


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