青山学院大学シンギュラリティ研究所 講演会

2018年11月24日

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災害地図を迅速に作成する

 それでは実際にはどうやって作っているのか。これは2010年にハイチで地震がおこったときに我々が作った地図です。地震が起きる前、ハイチの地図はそんなに詳細ではありませんでした。地震発生後はインターネットを通じて集まった1000人から2000人のボランティアが瞬時に地図を更新しました。これがクライシスマップ活躍の瞬間です。

 日本にいる我々がどうやって地図を更新したのか。NASAが持つ衛星画像や米軍のドローンの画像を送ってもらいました。それを元に現在の建物がどうなっているのかをマッピングしていきます。データは人工衛星、有人の飛行機、ドローン、紙地図。当時CIAの古い地図まで送ってもらいました。その翌年に東日本大震災が起きました。そして2013年の伊豆大島土砂災害、この時はその日のうちにクライシスマップを完成させました。

震災発生前の地図には建物のデータはほとんど書き込まれていなかった 写真を拡大
震災発生1日後で建物の詳細なデータが書き込まれ、これを元に対策が立てられた 写真を拡大

 2018年の西日本豪雨災害で倉敷から真備町へ行くためのルートマップを作成しました。真備へ行くための橋が大渋滞したので、一旦北上してから回り込むルートを作って地図に反映させました。また、仮設トイレの情報もどんどん更新していきました。これが今年の活動になりました。

地元の人が推奨する渋滞を避けて真備町に行ける北上ルートを地図上に公開 写真を拡大
次々と設定される仮設トイレの状況を地図上に公開 写真を拡大

 西日本豪雨の時は我々もドローンを飛ばして空から様子を探りました。もちろん、自衛隊もドローンを飛ばしています。でも、そのデータは非公開なんですね。情報収集した結果は得られないんです。それをどうやって地図に移し替えるのか。アプリを使って効率的に移し替える方法を我々は確立しています。近い将来には地図作りに参加しているボランティアが個人でドローンを所有するようになります。そうすれば周囲500mから1kmの最新情報が簡単に空撮出来るようになります。

ボランティアがドローンを使えれば、個人が地図を更新できる範囲が広がる 写真を拡大

 我々の推進している方法は、まず、ドローンで空撮したデータをOpenDroneMapというフリーソフトでSfM処理しオルソ画像を生成。次にOpenAerialMapという空撮画像を共有して利用するためのプラットフォームに公開します。この空撮画像を使えばOSMへのマッピングもできます。OSM経由で、国連の自然災害時の人道支援を担当するOCHAや国境なき医師団、各国の赤十字社などで活用できるようになります。個人がドローンを飛ばす時代が来ることは間違いない、世界中の仲間と新しい技術で地図を作ることができるようになります。発展途上国では携帯電話から普及が進んだように、航空写真から個人で地図を作る方法の方が普及しつつあります。日本の社会サービスの基盤を支える地図データになるかもしれないというところまで到達したと実感しています。

教室内でドローンの飛行デモンストレーションもおこなわれた

  
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