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2018年11月16日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

中部圏社会経済研究所研究部長

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。12年4月より現職。*記事はすべて筆者の個人的見解であって、筆者の所属組織とは無関係です。

女性や高齢者の労働力化で生み出される労働力数

 こうした疑問の一つとして、外国人労働力の受け入れの前に、女性や高齢者など日本人の労働力化を促進し、それでもなお不足する分に関して、外国人を導入すればよいとの主張がある。実際、安倍内閣は2016年6月「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定し、女性が輝く社会、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、誰もが生きがいを感じられる『一億総活躍社会』の実現を目指していたのではなかったのか。たった2年で諦めてしまったのだろうか。また、外国人労働力を受け入れるのであれば日本人人口の減少はさほど問題ではなくなるので、少子化対策との整合性も問題となるだろう。

 以下では、これまで安倍内閣が採用してきたはずの「日本人労働力ファースト」の方針を踏まえ、女性や高齢者など日本人の労働力化を促進することで、どの程度の労働力(就業者数)が生み出されるのか、以下の3つのケースについて試算を行った。

ケース1:すべての年齢別・性別失業者を解消した場合

ケース2:ケース1が実現しさらに高齢労働力を活用した場合(65歳から74歳までの高齢者の労働力率が60歳から64歳までの労働力率の平均値まで上昇した場合)

メース3:ケース2が実現しさらに女性労働力を活用した場合(女性の全ての年齢において男性並みの労働力率にまで上昇した場合)

 図2によれば、2020年では、ケース1で362万人、ケース2で661万人、ケース3で967万人新たに労働力が創出され、いずれも足元の潜在成長率を実現するのに必要な労働者数を上回ることが分かる。しかし、ケース1では2025年、ケース2では2035年、ケース3では2045年に潜在成長率を維持するのに必要な労働者数が各施策によって増加した労働者数を加えた労働者数を超過する。つまり、各施策ケースでは当該年以降外国人労働力の導入が必要となるが、最速のケース1でもまだ数年の猶予があり、十分な議論を尽くしたうえで国民的合意を得てからでも十分外国人労働者の受け入れには間に合うだろう。

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