2022年8月13日(土)

Wedge REPORT

2011年8月24日

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上の看板のように、「ゼロ・ゼロ物件」などと謳って生活困窮者に入居を勧誘。入居すれば生活保護を受給させて家賃等を徴収する

 ではこのNPOはいったいどんな団体なのだろうか。神奈川県内だけでなく、長野県などでもこうした生活保護の受給者を住まわせる施設を運営しているようだが、小誌の問い合わせに「なにも話せない」と全く取材に応じようとしない。

 しかし、昨年6月の神奈川新聞によると、この建物の部屋から覚せい剤5グラムが見つかり、部屋に住む男とNPOの相談員が覚せい剤の営利目的所持で警察に逮捕される事件が起きている。部屋に住む男は、NPOの相談員から「一緒にシャブを売らないか」と誘われたと供述したということで、相談員が闇社会との接点を持っていたことがうかがわれる。警察関係者は、「貧困ビジネスを運営する企業や団体の中には、暴力団とつながりを持ち、資金源となっているところも少なくない」と指摘する。

 響きの良いNPOを隠れ蓑に、ここでも暴力団関係者が路上生活者たちから生活保護費をむしり取っているとすれば、深刻な問題だ。

貧困ビジネスを断ち 適正な生活保護制度に

 生活保護受給者をねらった貧困ビジネスは、全国で急速に拡大中だ。このまま放置しておくわけにはいかない。

 生活保護の受給率が全国トップの大阪市では、平松邦夫市長が貧困ビジネスを法律で規制できるよう国に求めている。今年2月には、大阪府が生活保護の受給者に住居や食事などのサービスを提供する業者に対し、その内容を届け出るよう義務づける条例を全国で初めて施行した。これにより、貧困ビジネスに対する行政の監視を強化するのが目的だ。

 生活保護の受給者が多く、財政負担が重くのしかかる大阪では、とりわけ危機意識が強いのだろう。こうした動きがいち早く始まっているが、全国的にはまだまだ手つかずのままだ。法律による規制など国の対策もまだ取られていない。生活保護の受給者が全国で200万人を超え、保護費の膨張が深刻化するなかで、こうした不正をきっちり摘み取っていくことが欠かせないはずだ。早急な対策が求められる。

[特集] 生活保護をどう考える?

*この記事は、WEDGE9月号特集「生活保護 3兆円の時代」内のコラムを加筆・修正したものです。雑誌では、一度入れば抜け出せない生活保護の実態や、自治体支援の限界などもレポートしています。

◆WEDGE2011年9月号より



 

  


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