2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2018年12月26日

 政府は2018年12月の閣議で新たな防衛計画の大綱を決め、サイバー防衛能力を抜本的に強化することを明記した。特にサイバー反撃を行うとすれば、政府がサイバー空間の動向を監視する必要が高いが、そのためには独立性の高い第三者機関による「監視の監視」を組み込む必要があるだろう。

 また、防衛や公共の安全の目的で個々の通信を検知するためには、裁判所による厳格な令状審査と発布が必要となるが、その最低限の条件として、米国の外国情報監視法における令状審査裁判所のように、サイバー空間について高度の判断能力を有する裁判所の部門を設置して審査を委ねるべきではないか。

 サイバー空間の秩序を維持することは、個人の尊重と民主主義社会を確保するために求められる国家の責務であるが、同時に国家の権限行使が必要な限度を超えて人権を侵害することを防がねばならない。そのための適切な実体的・手続的・組織的規制の導入を検討し、真に必要であれば「情報監視院」のような独立性の高い機関を設置する等の憲法改正をも含めた議論が必要な時期だと思われる。

 Society 5.0のための、個人・企業・国家等の各主体の役割の設定に向けて、必要な知見が社会全体で共有され、サイバー空間をめぐる冷静な議論が深まることを望みたい。

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PART 2  ”実害”なくとも中国企業は排除 背後の共産党を恐れる米豪
PART 3  米国が最先端技術にかける網 日中共同開発は実質的に不可能に
COLUMN  米国の意向が最優先の現実 脱・ファーウェイは外交問題
PART 4  英国の脆弱なインフラと大学 「合法的」に諜報活動を行う中国
PART 5  米中ハイテク戦争の結末は?中国は半導体製造装置がアキレス腱
INTERVIEW 米国が狙う中華5Gの”不拡散” 「宣戦布告」になすすべのない中国

  
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◆Wedge2019年1月号より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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