2024年12月8日(日)

立花聡の「世界ビジネス見聞録」

2019年1月7日

 先月、ベトナム・ハノイ出張の帰りにホーチミンに私用で立ち寄った。私用とは購入した新築のコンドミニアム物件に不動産仲介業者が借り手を見つけてくれたので、その賃貸契約のための手続だった。

 私は金融投資や不動産投資に夢中になるような人間ではない。「不労所得」派よりも、「額に汗して働く」派だった。といってもいざ投資してみると、決して労せずして利益を手に入れられるものではないとしっかり思い知らされた。

ホーチミンのプレビルド物件を購入

ホーチミン市2区にある物件の外観

 ベトナムで不動産を買うきっかけは、現地法人を作ってベトナム事業を始めたところにあった。2015年6月、当局から自社のベトナム法人設立の許可が降りた。そのための手続でベトナム出張に行ったら、知り合いの日本人不動産業者から「現地不動産視察ツアー」に誘われた。

 会社も作ったし、これから急成長するとされるベトナムだし、手頃な物件があったら1件くらい買っておいてもいいじゃないかと腹をくくってツアーに参加した。ホーチミン市内の物件を何か所か回るツアーだが、物件といってもプレビルドなので実物がなく、デベロッパーの販売展示場・モデルルームを見学するだけのツアーだった。

 たいそう奇麗な展示場に、これもまた美しいベトナム人女性販売員が流暢な英語を操って熱心に勧誘してくる。彼女たちは基本給がほとんどなく販売歩合制で糧を得ているようで、熱心というよりも必死だった。美女攻勢に負けたわけではないが、購入の意思もあったので即決で購入申込書にサインした。価格も1平米2000ドル弱と手頃。

物件の販売展示場

 事前情報はある程度仕入れていた。2015年7月1日付けでベトナムの「不動産法」が改正され、外国人の物件購入は公式に認められることになる。実際に私が購入申込書にサインした1週間後、法令は約束通り施行された。そこで法的問題はクリアできたわけだ。

 プレビルドとは、建設工事が着手される前の物件を買うことを指す。俗に「青田売買」とも呼ばれている。メリットとしては、安いことと金利不要の分割払いができることで、デメリットは建設工事の遅延やデベロッパーの倒産といった類のリスクを負うことである。


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