中東を読み解く

2019年1月7日

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米国の責任

 イエメン戦争がこうまで残虐に長引いた責任の一端は米国にある。トランプ政権はサウジへの1200億ドル強の武器売却で合意しているが、オバマ前政権も600億ドル、ブッシュ元政権も200億ドルに上る武器を売却した。サウジがイエメン戦争につぎ込んでいる戦闘機や爆弾はほとんどが米国製だ。

 F15戦闘機の保有機数はサウジが米国、イスラエルに次いで世界3番目。いかに米国製兵器がサウジに渡っているのかの良い例だ。地上では、イエメン爆撃から帰還したサウジ戦闘機のメインテナンスのため、ボーイング社などから数百人の技術者が働いている。

 こうしてサウジの戦闘継続を米国が支えてきたわけだが、とりわけ、イエメンへの軍事介入に踏み切ったムハンマド・サウジ皇太子をしゃにむに支援しているトランプ政権の責任は大きい。戦争が泥沼化する前にムハンマド皇太子を押しとどめるべきだった。

 トランプ政権は昨年11月、サウジの反体制記者カショギ氏殺害事件に批判が高まったこともあり、イエメン戦争のサウジ機に対する空中給油支援を停止した。遅きに失したというべきだろう。上院もムハンマド皇太子非難の決議とともに、イエメン戦争の軍事支援を中止するようトランプ大統領に求める決議案を採択したが、議会のチェックも後手に回ったという印象が強い。

 ハディ政権とフーシは昨年末、国連主導の和平協議で激戦地ホデイダでの部分停戦と捕虜1万6000人の交換に合意した。やっと見え始めた和平への一筋の光明だが、これが続くと見る向きは少ない。停戦が破られないことを祈るばかりだ。

  
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