「俺はウチの雑誌と結婚してるから」
だが一番思い出深いのは、04年の休刊間際、月刊『プレイボーイ』6月号で聞き手として改めてインタビューを行った時だ。
冒頭、岡留さんは、「雑誌が黒字で絶頂の時に惜しまれつつ辞めるのが僕の美学」と、サングラスの顔をほころばせて言った。
確かに当時『噂の真相』の発行部数は、総合月刊誌では『文藝春秋』に次ぐ第2位。以後この日は、彼流「美学」の話が目立った。
大学時代に新左翼の活動家で「反権力」を掲げる雑誌の編集長、という経歴から岡留さんにコワモテのイメージを持つ人が多いが、本人も認める通り外見は「優男」風だ。
根が楽天的で、下品な言動をせず、人権尊重のフェミニストでもあったから、大変モテた。
付き合うのは常に「特定多数」の女性。
当然、結婚話も出るが、そこは「俺はウチの雑誌と結婚してるから」と切り抜ける。
「でも本当は、雑誌の性格上、結婚してしまうと妻子が迷惑を被る恐れがあるのでは?」
「そう。僕自身が刺されるのは覚悟の上で仕方ないけど、妻や子どもが万一犠牲者になったりしたら、とても耐えられない」
実際岡留さんは、2000年6月に、編集部に乗り込んできた右翼の男に太股を刺され、全治40日の怪我を負っている。
となれば、独身主義も生き方の「美学」であろう。