「別のペースの人生も知りたい」
その他、「スキャンダルを扱う以上、自分が足をすくわれないよう」に、(1)税金は正確に支払う(2)飲酒運転はしない(3)薬物には手を出さない、などの規律を自らに課してきた(「息抜き」のキャバクラ通いと、海外カジノ旅行は継続しつつだが)。
その成果が、東京高検検事長則定衛の愛人問題を暴いて辞任に追い込み(99年)、総理大臣森喜朗の学生時代の売春検挙歴を掲載(00年)し森政権崩壊のキッカケを作るなど、前代未聞の大型スクープの数々だった。
「25年の区切りで、そんな疾走に終止符を打つ?」
「もう『噂真』の存在感は示せたかな、と」
「25年を振り返ってみるとどうですか、やはり岡留さんの‘核’だったのは全共闘体験?」
「でしょうね。でも僕の場合、入っていたセクト(党派)より全共闘の基本的な考えの方が強いかも。根本にさかのぼって考えるとか、お互いに批判し合うとか、自由で公正な社会を目指すとか。そのためには、権威や権力だからといってひれ伏したり、タブーを設けたりしちゃダメなわけですよ。ただ」
「ただ?」
「前の雑誌からだと毎月締め切りに追われる編集長生活を約30年続けたから、そろそろ別のペースの人生も知りたい(笑)」
休刊後は、1週間で帰国という「枠」を越えて海外カジノ旅行を楽しみ、その後「飲み屋が充実している」沖縄に暮らすと語った。
そしてそれから15年が経過して、私は岡留さんの訃報を聞いた。
考えてみれば岡留さんは、「全共闘世代には変節して権力にすり寄る人が多い」と言われる中で、、若い日の「志」を曲げることなく時代と格闘し続けた稀有な人だった。
そんな人のスタート時点とゴール地点に、たまたま同世代・同業者として少し関わることができたのは、私にとって幸せだったと思う。
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