2024年11月22日(金)

Washington Files

2019年2月25日

3. 全米規模の脅威なのか?

 過去歴代大統領が宣言した「国家非常事態」は、国全体にとってそれなりにインパクトを感じ取れるものだった。ところが今回の場合、テキサス州の一部地域を除き、全国規模の問題とは言い難い。

 その証拠に、トランプ大統領が「国家非常事態」宣言後、これまでに全米50州中16州が大統領のとった行動の違法性を指摘、それぞれ大統領を相手取って連邦地裁に訴えを起こした。この中には、直接メキシコと国境を接するカリフォルニア、ニューメキコ両州も含まれている。

 16州中最初に異議を唱えたカリフォルニア州のザビエル・ベセラ検事総長は訴状の中で「トランプ大統領は米議会の意思に反し、国家非常事態宣言のために不法移民に関する危機をねつ造した上、麻薬流入阻止、国境警備用などの目的に割り当てられた連邦予算の壁建設への転用を企図している。大統領はそもそも非常事態宣言の際に『そうする必要はなかったが、議会が壁予算を承認しなかったため、決断した』と釈明したが、この行為こそまさに憲法上の危機を意味している」と糾弾した。

 また、ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ検事総長も同日、非難声明を発表「実在しない国家非常事態を宣言すること自体、非道徳かつ非合法であり、なおかつ、連邦議会が歳出を決めた犯罪取り締まり強化、警備体制充実など真の危機に対処するための必要資金を壁建設に流用することは、それこそ全米国民を傷つける行為にほかならない」として告発している。 


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