2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2019年2月26日

マナフォートは事実上終身刑

 司法妨害疑惑の焦点はコミーFBI長官の解任にまつわるものだ。コミー氏のメモによると、大統領は2017年2月、ホワイトハウスの食事にコミー氏を招待し、その際、ロシアとの接触や外国との違法なコンサルタント請け負いなどの捜査を受けていたフリン前補佐官について、捜査対象から外してほしいと頼んだ。事実なら明らかな司法妨害だ。

 不倫もみ消し疑惑はニューヨークの連邦検察が捜査しており、トランプ氏の元顧問弁護士コーエン氏が捜査の対象だ。コーエン氏の供述によると、「トランプ大統領からの直接の命令」で、トランプ氏がかつて不倫していた2人の女性、モデルのカレン・マクドゥーガルさん、ポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんに口止め料を支払った。

 ダニエルズさんには大統領選挙直前の2016年10月、13万ドルを支払い、マクドゥーガルさんには同年8月、ナショナル・エンクアイアー誌に不倫話を購入させる形で15万ドルを支払った。コーエン氏は身体を張ってトランプ氏を守ると忠誠心を示していたが、減刑と引き換えの司法取引に応じた。大統領は同氏を「嘘つき」と罵倒し、支払いを命じたことはないと否定した。

 コーエン氏はすでに口止め料の支払いを認めた選挙法違反のほか、銀行詐欺や脱税などの有罪を認め、禁固3年の判決を受け、5月から服役する予定。ここにきて、トランプ一族の不正や、大統領就任式実行委員会の海外からの違法献金疑惑で新たな情報の提供を申し出て、さらなる減刑を狙っている。

 元選対本部長のマナフォート氏は脱税や詐欺などで有罪を認め、いったんは司法取引に応じたが、その後虚偽の供述を繰り返したとして取引は破綻、3月に判決を受ける予定だ。最長禁固25年を言い渡される可能性があり、4月で70歳になる同氏にとっては事実上の終身刑となるだろう。

 トランプ大統領は同氏を“勇敢な男”と称賛し、判決後に恩赦を検討していた。しかしこのほど、ニューヨークの地方検事が州法違反で訴追する準備も進めていることが明らかになり、連邦違反ではない判決に大統領の恩赦権限は及ばないため、一段と窮地に立たされている。


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