ロシアゲートの核心に関与
モラー特別検察官の捜査が大詰めを迎える中、ロシア関連疑惑(ロシアゲート)の核心に迫る証言もあった。2016年7月の民主党大会の直前のことだ。コーエン氏がトランプ氏のオフィスに入ると、ちょうどそこへトランプ陣営の顧問で友人のロジャー・ストーン氏(19年1月有罪)から電話が入った。
この当時はトランプ陣営が民主党のクリントン候補に不利な物証を求めて、ロシア側と接触を図っていた時期に当たる。ストーン氏もその1人で、ウィクリークスのジュリアン・アサンジ代表と接触を試みていた。電話を受けたトランプ氏がスピーカーフォンにしたため、コーエン氏にも丸聞こえになった。
ストーン氏はトランプ氏に「アサンジと今話したばかりだが、数日内にクリントンに打撃を与える大量のメールが流れる予定だ」と述べた。このメールはロシアの情報機関と関係のあるハッカーが民主党本部をハッキングしてウィクリークスに流させる予定のものだった。
コーエン氏によると、トランプ氏はこの話に「素晴らしいじゃないか」と喜んだという。この証言は共和党大統領候補に確定していたトランプ氏が、ロシアのハッキングしたメールが流れることを事前に知っていたことを意味する。これ自体、ロシアとの「共謀」の絶対的な証拠にはならないが、疑惑を一段と深めるものだろう。
このほか、ロシアゲート関連では、トランプ氏の長男ジュニア氏ら陣営の幹部が2016年6月、クリントン情報を入手するためロシア人女弁護士とトランプタワーで会談する前、ジュニア氏が「すべて準備が整った」とトランプ氏の耳元でささやいているのをコーエン氏が聞いた。トランプ氏は「分かった。(結果)を知らせろ」と指示したという。
トランプ氏はこの会談について事前に知っていたことを否定しており、事実なら、同氏の指示でロシア人弁護士との接触が進められていたことが濃厚となる。コーエン氏は「会談はトランプ氏の承認なしには実現しない」と証言、トランプ氏の関与を主張した。