疑惑の展開では米の内政は大混乱
米朝双方は実務者協議で話し合いを継続する構えだが、トランプ大統領にまつわる疑惑が今後どういう展開をたどるかは、事態を左右する大きな要素になってきた。
コーエン証言は主観が少なくなく、客観的な物証にも乏しく、これだけでは弾劾など、とうてい実現し得ないが、特別検察官による捜査報告とも相まって、弾劾訴追に向けた動き、議論が高まる可能性は十分にある。そうなれば、米国の内政は混乱、大統領は防戦に追われて、北朝鮮の核問題解決に費やす時間とエネルギーは大きく失われるだろう。
1972年に発覚したウォーターゲート事件では、ニクソン大統領がベトナム戦争終結に努力を傾注、国民の関心を逸らそうとしたが効果なく、1974年に下院司法委員会で弾劾訴追が決まったのを機に、「もはやこれまで」と辞職を表明した。
ハノイ会談が最後の首脳協議?
大統領選は来年秋に迫っている。今秋から出馬予定者の運動が本格化し、来年の年明け早々、各州で候補者選びの予備選・党員集会が始まる。選挙の結果次第で北朝鮮は新政権との間で、あらためて交渉を始めなければならない。選挙前に大きな決断、譲歩をするにはリスクが伴う。膠着状態が長く続くほど慎重にならざるを得ないだろう。
ハノイ会談がトランプ氏と金正恩による最後の会談になるのか。トランプ疑惑の今後の展開にかかっている。
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