2022年12月10日(土)

WEDGE REPORT

2019年3月5日

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朴承珉 (パク・スンミン)

在韓ジャーナリスト

在ソウルジャーナリスト。時事通信ソウル支局記者を経て、「文藝春秋」「週刊文春」のソウル特派員。長年、北朝鮮問題をウオッチ。平壌や開城工業団地、板門店、金剛山など7回以上北朝鮮入りして取材。日韓メディアに寄稿している。

 北朝鮮は会談が何の成果もなく終わったことに戸惑ったのか、外務省の崔善煕外務次官は会談当日の深夜時間に記者たちに、今回の会談で北朝鮮は「寧辺の核団地全体、その中に入っているすべてのプルトニウム施設、すべてのウラン濃縮施設を含むすべての核施設を丸ごと米国専門家の立ち会いの下で恒久的に戻すことができないように廃棄するという提案をした」、「まだ寧辺の核施設の全体を廃棄対象にした歴史がない」とし、大きな決断だったということを必死に説明し、強調した。

 崔次官は寧辺の廃棄が大きい決断だったという説明に止まらず、「(金委員長が)新年辞で(米国の)相応の措置がなければ、新しい道を探るという立場も示したので、これからは本当に何かでもならなければならないと考えている。今回の米国側の反応を見て多くのことを考えている」と述べた。

核技術などを(第三国に)移転する

 ここで「新しい道を探る」という言葉は、「核技術などを(第三国に)移転することもあり得るという意味」(太元公使の記者会見での推論)だろう。

 北朝鮮は外国での首脳会談の場でも脅迫の言葉を言わなければならないほど、制裁の圧迫を受けているということが今回の会談で金委員長の焦りからよくわかった。北朝鮮の完全な非核化への道は、制裁しかないということを再確認したのが会談の成果だったのかもしれない。

 韓国外交部(省)の北朝鮮核担当大使を務めたイ・ヨンジュン元大使は、1月末に発行した『大韓民国の危険な選択』という本で、「寧辺の施設は効率性も落ち、古鉄の水準なので、現在は大きな意味のない付随的な施設に過ぎない。1990年代に北朝鮮の核問題に関与した人々は、北朝鮮が寧辺核施設を廃棄するという言葉に感激したかもしれないが、今やこの施設は北朝鮮の核問題の中核争点とは大きくかけ離れた"核開発の歴史博物館"にすぎない」と指摘した。

また、「北朝鮮が現在、核兵器用の核物質を生産している中核施設は2000年代初めから秘密裏に建設してきたウラン濃縮施設だ。ウラン濃縮施設の高い秘匿性のため、どこにどのような規模の施設があり、その施設がどの程度稼働しているかは知る由もない。一つ確かなのは、そこから毎日生産される核物質の量が寧辺核施設とは比較にならないほど多いという事実だけだ」と明らかにした。

 李元大使は、「国連の対北朝鮮への制裁緩和、在韓米軍削減のような譲歩の見返りに寧辺核施設廃棄を得るとすれば、そうした交渉は韓国と米国の立場では『完全な失策』であり、『最悪の結果』だ」と主張した。

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