Washington Files

2019年3月6日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

民主党が下院で大勝、状況が一変

 同氏については過去にも本欄で取り上げたが、これまでトランプ・ファミリーが不動産売買を中心として国内外で取り組んできたあらゆるビジネス取引の総本山と位置づけられる「トランプ・オーガニゼーション」(本部:ニューヨーク市トランプ・タワー)で公私にわたる財務すべてを一手に担ってきた人物。

 今回、コーエン氏が議会証言で明らかにした、トランプ氏にまつわるセックス・スキャンダルもみ消しのために元ポルノ女優に支払われた13万ドルについても、ウィーゼルバーグ氏が決済したとされており、ニューヨーク連邦地検もこれまで極秘で同氏から事情聴取してきた(2018年8月6日付け『トランプの私的醜聞とロシア疑惑の意外な接点』参照)。

 このようにトランプ氏が関係してきたビジネス取引には過去に、さまざまな疑惑が指摘されてきたが、これまで米議会での本格追及が実現しなかったのは、与党共和党が終始反対か、消極姿勢をみせてきたからにほからない。

 ところが、昨年11月中間選挙で民主党が下院で大勝、多数を制することになって以来、状況が一変した。

 今回のコーエン証言が(共和党の猛反対にもかかわらず)実現したのも、真相究明のための関連委員会委員長ポストを民主党が押さえたからに他ならない。

 コーエン公聴会に続いて今後、他の委員会でも弾みがついたのように、大統領にとってきわめて気がかりな財務調査を中心に、以下のような徹底究明の動きがにわかに出始めている:

(1)下院財務委員会(マクシン・ウォーターズ委員長)

 ウォーターズ委員長は先月28日「われわれははまず基本的に、トランプ氏が税逃れのためにどのようなかたちで収益を『トランプ・オーガニゼーション』にプールしていったかの実態にメスを入れる必要がある。たとえば彼が得た15万ドルの講演料も本来なら個人収入として課税の対象だが、同組織に入れたままにしていたケースもその一例だ」と語り、近くウィーゼルバーグら関係者から事情を聴く考えを明らかにした。

 委員会メンバーの一人、ブラッド・シャーマン議員も「自分も過去、税務当局で税徴収部門を担当したことがあるが、コーエン氏の証言を聞いたかぎりでは、トランプ氏は銀行に対しては、資金融資を受けるために(担保としての)自分の資産と収入実績を過大に説明し、税務署担当官には、節税目的で過小に評価した書類を提出してきたようだ。こうした点を彼の金庫番(ウィーゼルバーグ氏)から直接ただすべきだ」と語った。

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