政府介入もある低廉な韓国の電気料金
韓国の化石燃料の輸入価格は、日本とほぼ同じレベルだ。2019年1月の日本の輸入統計によると石炭1トン、LNG1トンの価格は、それぞれ1万3600円、6万3600円だ。発電コストに換算すると1kWh当たり、4.3円と8.5円になる。
石炭には環境対策費と前処理費用が追加で必要になるが、それを勘案しても石炭に圧倒的に競争力がある。2016年の日本と韓国の電源別発電量を比較すると図‐2の通りであり、石炭と原子力の比率が高い韓国の発電コストが日本より競争力があると推測できる。2017年には韓国の石炭火力発電量シェアは45%に達しており、価格競争力のある電源を活用していることが分かる。
加えて、政府がKEPCOをコントロールしているため政策的に電気料金を抑制してきた。時には、遡及して電気料金を割り引くことすら行った。2016年韓国は猛暑に襲われた。多くの家庭がエアコンを使用したが、韓国の家庭用電気料金は、使用量が増えれば1kWh当たりの単価も上がる。節電のための価格体系であり日本でも採用されているが、韓国の場合には単価上昇が急だ。
当時、使用量ごとに異なる基本料金に加え使用量に応じた単価が6段階に分け適用されていた。100kWhまでは1kWh当たり60.7ウォン(6円)だが、最も高い501kWh以上は709.5ウォン(70円)になる。日本の家庭用料金、二十数円、の約3倍にもなるレートだ。エアコン使用により家庭の電気料金が上昇したことから、韓国政府は7月から9月の家庭用電気料金の割引を行った。
その後家庭用電気料金の単価は3段階に変更され200kWhまで93.3ウォン(9円)、最も高い400kWh以上280.6(28円)ウォンとなったが、2018年夏の猛暑時韓国政府は再度割引を行うことを決め、最も低いレートを300kWhまで、最も高いレートを500kWh以上に適用と一時的に変更し、平均20%程度家庭用料金を割り引いた。韓国政府は電気料金を完全にコントロールしている。
韓国の電気料金と日本、ドイツ、米国の電気料金の比較を図‐3に示した。韓国の電気料金は、先進国の中では最も競争力がある国の一つ資源大国米国の電気料金とほぼ同レベルになっている。家庭用電気料金は米国よりも安く、水力主体のノルウェーなどに並ぶOECD諸国の中で最安値グループに属している。