2022年8月9日(火)

前向きに読み解く経済の裏側

2019年4月29日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

借金があると株主の儲けは大きく振れる

 次に、「会社の売り上げが少し増えると株主の持分が大きく増える」というメカニズムについてです。株主の持分が大きく増えれば、株価が大きく値上がりする可能性は高くなりますから。

 上記のレストランが株式会社で、資本金9万円、無借金だとします。固定費は資本金で、変動費は売上金で賄おう、ということですね。

 客が100人来て利益が1万円稼げると、株主の持分は、資本金の9万円に利益の1万円を加えた10万円になります。客が110人来て利益が2万円稼げると、株主の持分は9万円プラス2万円で11万円になります。客数が10%増えると、株主の持分も10%増えます。

 売り上げもメニューも全く同じ内容のレストランが今ひとつあったとします。ただし、資本金は4万円で、銀行借り入れが5万円です。

 客が100人来て利益が1万円稼げると、株主の持分は4万円プラス1万円で5万円になります。客が110人来て利益が2万円稼げると、株主の持分は4万円プラス2万円で6万円になります。客数が10%増えると、株主の持分は20%増えるのです。

 銀行借り入れをしている企業の方が、客数が増えた時の持分の増加率が高いのです。もちろん、客数が減った時の持分の減少率も高いので、どちらが得だとは言えませんが。

 なぜそんなことが起きるかと言えば、銀行には「儲かっても損しても、決められた利息を払う」という契約だからです。店の半分は自分の資本金で、残りの半分は銀行からの借金で借りているわけですが、借金で借りている店からの利益(または損失)も株主のものになるわけですね。

 まあ、自己資金10万円で株を買っている人と、自己資金10万円プラス借金10万円で20万円分の株を買っている人では、利益も損も後者が2倍ですから、それと同じことだと考えれば良いのでしょうね。

 余談ですが、資本金9万円の無借金会社と、資本金4万円で借金5万円の会社を比較すると、(銀行への利払いを考えなければ)利益額は同じですから、株主が支払った金額に対して後者の方が効率よく稼いでいることになります。これが「ROE(Return on Equity)が高い会社」というわけです。もっとも、会社が赤字になれば、ROEのマイナス幅が大きい会社になってしまいますが。

 この場合、売上高が少し増減するとROEが大きく上下することになります。つまり、投資家にとってはハイリスク・ハイリターンになる、というわけですね。

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