2024年7月16日(火)

WEDGE REPORT

2019年4月19日

モラー氏解任を画策

 トランプ大統領はモラー特別検察官の解任も画策。検察官が任命されてすぐ、ホワイトハウスのマクガーン法律顧問に電話し、司法副長官にモラー検察官を非難させ、解任させるよう指示した。しかし、同法律顧問が拒否し、大統領の思惑は失敗した。

 その後、米紙がこの解任未遂事件を報じた後、大統領は同法律顧問に対し、検察官を解任しようとしたことを否定する声明を出すよう指示したが、法律顧問が再び拒否した。また別のケースでは、トランプ大統領はマクファーランド次席補佐官に対し、捜査の対象になっていたフリン補佐官とロシア大使との会談の事実を大統領が事前に知らなかった、とのメールをホワイトハウス内部に回すよう指示した。

 だが、同次席補佐官は大統領の言い分が事実かどうか分からなかったため、大統領の指示を無視した。フリン氏とロシア大使との会談については、大統領が事前に知っていたという2つの証言がある。

 大統領はまた、ルワンドスキ元選対本部長に対し、セッションズ司法長官を使ってモラー特別検察官の捜査を攻撃させるよう指示したが、元本部長は従わなかった。しかし、1カ月後、再び大統領から指示を受け、元本部長はホワイトハウス高官のディアボーン氏に依頼した。

 同氏は結局、この指示を実行しなかった。大統領のこうした捜査介入はほとんどうまくいかなかったが、もし大統領の指示が実行されていれば、大統領はかえってより深刻な法的立場に立たされた可能性がある、という。

 新事実も明らかになった。トランプ氏の長男ジュニア氏が大統領選挙でロシアのハッキング情報を流した内部告発サイト「ウィクリークス」と直接接触していたこと、マナフォート元選対本部長がロシアとウクライナの紛争に関して和平提案をしていたことなどだ。

 トランプ大統領は報告書が公表された朝も「史上最大の政治的でっち上げだ。不正な連中と民主党員によって犯罪が行われた。大統領の虐待だ」とツイートした。大統領はこのところ、非難のトーンを高め「民主党が背後にいる。反逆的だ」と罵り、ロシア疑惑捜査では自陣営への“スパイ”行為があったと主張、バー長官もこの大統領の発言に呼応するかのように、捜査の問題点を調べると表明していた。

  
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