Wedge REPORT

2019年6月11日

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「この会社は馬鹿ばっかり雇ってんのか」

 暴力団の事務所へ出向き、20代の男性を引き取りに行ったこともあります。男性は10代の頃に暴力団に入り、罪を繰り返してきたのですが、うちでまじめに働くようになったのです。ところが、暴力団員からまた声がかかり、事務所に連れていかれたので、迎えに行きました。

 そのような時の私は怖いオーラが出るみたいです。事務所の中でソファーに座って、彼を解放してくれるまで5時間待ちました。その後、連れて帰り、今では、立派に働いていますよ。

 ある時、弊社に来たある会社の社長が「この会社は馬鹿ばっかり雇ってんのか」と言ったことがありました。知的障害者を見て、そのように見えたのでしょうね。

 私は怒りましたよ。従業員がいないところに連れていき、強く抗議しました。障害者や刑務所から出てきて、懸命に働く人をバカにされると、本当に許せないのです。

 私には、弱い立場の人を守る使命があります。30年以上続けることができたのは、少年院や刑務所を出所して働く人や障害者たち、その家族や支援者がいたからです。そして、仕事をきちんとしてくれる従業員たちがいたからです。本当に感謝しています。でも、仕事がないと続けられませんので、仕事を依頼してくださる方がいると、とてもうれしく思います。

 協力雇用主になっても、出所者を怖がり、雇わない方もいると聞きます。なぜ、そのような目で見るのですか? とお聞きしたい。誰もが何かのはずみで、加害者の側になる場合はあるはずです。たとえば、交通事故で大きなけがをさせたり、死にいたしめることもありうるでしょう。その人たちが刑務所を出た後も、働く機会すら与えられないのはおかしい、と思うのです。

 「純真無垢」という言葉が、私は好きです。これをしたらこんなことを返してくれるだろう、なんて思いは私にはありません。

 「さんざん裏切られてきたのに、また雇うの?」と聞かれますが、裏切られたとは思っていません。誰かがやらなければいけないから、しているだけ…。誰でもできますよ。しないだけ…。これからも続けていきたいと思います。

株式会社 キューピットワタナベ
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