2022年8月9日(火)

オトナの教養 週末の一冊

2019年6月14日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――もし引きこもってしまった場合にはどうすればよいのでしょうか?

小島:第三者である行政やNPOなどに相談すると解決はしやすいです。ただし、無理矢理部屋から引きずり出すなど暴力的に引きこもりを解決しようとする団体には注意が必要です。

 しかし、これだけ引きこもりがいる現状を見ると、いかに相談に対するハードルが高いかがわかります。まず支援側は「相談に乗ります」ではなく、「最近、親子の会話が少なくて困っていませんか」「夫婦の会話が少なくないですか」「子どもが部屋から出てこないことがありますか」など具体的な事例でハードルを下げアウトリーチすることが大事です。

――引きこもりの方のカウンセリングを担当されていたわけですが、実際はどのように相談が進むのですか?

小島:最初は、相談すること自体のハードルが高いので相談者に対し寄り添うことが重要です。たとえばお母さんが来てくれた場合、「よく相談に来てくれましたね」「いままで大変でしたね」と言ったように。子どもが引きこもった経緯は聞きません。そして帰り際に「今日はどうでしたか?」と聞くと、大抵は「スッキリした」「気持ちが楽になった」と答えてくれます。それを夫や子どもに伝えてくださいとアドバイスします。子どもも夫もお母さんや妻に対し悪いと思っているので、お母さんの気持ちが楽になって良かったと思うわけです。そうすると次からは夫も相談に来るようになります。相談に来て話すことの何が良いかというと、自分がしたことや思っていたことを言葉にするので、言語で認知することになり、客観視できるようになります。そこが重要で、そうなれば解決の糸口が見えてきます。最終的には当事者が出てきてくれれば、解決する確率が高くなります。

 当事者が相談に来たら、どんな仕事でも良いので挑戦してみるように話をします。親は、すぐに正社員で雇ってくれるところが良い、安定が一番だとなりますが、そこで急いではいけません。そもそも「安定」は社会的な装置ではなく、自分のなかにあるものです。毎日、やることや行くところがあり、「よし今日も一日が終わった」と自分を認めてあげられるのが大事です。会社や人間関係に依存していればそれがなくなった瞬間に「安定」はなくなります。

――本書のタイトル「子育てが終わらない」という状態はまさに引きこもりに悩む親の悲痛な叫びではないでしょうか。

小島:子育てには精神的、社会的、経済的に何歳ごろまでにどうやって自立させるかといったある程度のタイムスケジュールが必要です。本当の意味での自立とは、どんな状況でも暮らしていくことができること。自立することで自尊感情が生まれます。ところが、日本社会の自立の基準は、「ちゃんとした学校を出て、ちゃんとした会社に勤める」という「ちゃんと」という曖昧な基準で子どもを縛っている。

 また、「あの子はできるのに、うちの子はできない」と他の子と比較するのをやめましょう。子どもによって発育も違います。他人と比較し、善悪を判断している限り、子育ては終わらないのではないでしょうか。

  
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