2024年4月26日(金)

赤坂英一の野球丸

2019年7月3日

大谷は打者に専念すべきか?

 ちなみに、メジャーのサイクルヒット達成回数はのべ327回で、達成者は291人。うち2度記録した選手が33人、3度やってのけた選手も3人いる。また、メジャーと日本プロ野球で1度ずつマークした選手もひとりだけいた。1996年にニューヨーク・メッツ、2004年に中日で達成したアレックス・オチョアだ。

 ついでに書き加えておくと、メジャーでは1シーズン中に複数回サイクルヒットが記録されたこともある。今年も、大谷が達成した翌日の6月14日、クリーブランド・インディアンスのジェイク・バウアーズがマークし、2日連続でサイクルヒットが生まれたと話題になった。さらに、球団数が多く、長い歴史のあるメジャーでは、同じ日に別々の選手がサイクルヒットを達成して、「1日2回」という記録も生まれた。

 しかし、大谷に対してこんな期待が高まれば高まるほど、また別の懸念材料も生まれる。それは「この際打者に専念したほうがいい」という論調が増えることだ。現に、メジャー通算521本塁打の記録を持ち、アメリカ野球殿堂入りもしている元大打者フランク・トーマス氏は米スポーツ専門テレビ局FOXスポーツなどで、「大谷は打者に専念し、毎試合出場するべき」と事あるごとに主張している。

 大谷がトミー・ジョン手術を受けた右肘のリハビリを終え、来年から投手との二刀流に戻れば、当然ながら今年のようにほぼ毎試合出場することはできなくなる。それよりも、外野手となって活躍を続けたほうがチームにとってプラスになり、ファンにとっても喜ばしいことだろう、というトーマス氏のご意見には確かに一理ある。

 そんな様々な可能性に思いを馳せるにつけても、大谷とはつくづく規格外の選手なのだな、と感嘆させられる。大谷のポテンシャルの高さについて、いち早く言及したヤクルト・青木の慧眼にも。

  
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