2024年4月18日(木)

インド経済を読む

2019年8月9日

成長するインド経済の象徴とも言えるシッダールタ氏

 シッダールタ氏はインド南部で代々続く裕福なコーヒープランテーション農家に生まれた。

 大学卒業後、ムンバイの投資銀行でビジネスを学んだ彼は90年代初頭にCafé Coffee Dayの前身となるコーヒー関連会社を設立。96年にはCafé Coffee Day一号店を開店、順調にその店舗を増やし現在は全世界で約1700店舗を展開するインド最大のコーヒーチェーンにまでに成長させた。

 実際私が住んでいる首都デリーでもたくさんのCafé Coffee Dayの店舗があり、私も良く利用する身近な存在だ。従来のローカルなカフェよりは清潔で洗練されているが、インドでは新興のスターバックスほどは価格帯は高くない。CDGはそんな絶妙なポジショニングによりインドで安定した売上を上げ続けているのだ。

 そしてシッダールタ氏と言えば、カフェビジネスのイメージばかりが先行するが、彼が手掛けてきたのはカフェチェーンばかりではない。

 実は彼はIT企業への投資で巨額の利益を得たという側面もある。まだ大きな会社ではなかった90年代のInfosysや、Ivega、Kshema TechnologyそしてMindtreeなどにVCとして投資することで彼は大きな資産を築くことに成功した。

 またこれらのIT企業と関連し、彼は自身のテリトリ―とも言えるインド南部のバンガロールにIT企業の集積地を開発展開する不動産デベロッパーとしても成功している。

 そして彼を語るうえで欠かせないのが彼の人脈だ。

 彼の義理の父はインド外相や州首相まで務めたS・M・クリシュナ氏。彼の成功譚の背景に義理の父からもたらされる人脈が有用だったことは想像に難くない。

 オシャレなコーヒーチェーンというインドでは珍しいビジネスの成功例に見えるシッダールタ氏のビジネスもよくよく調べてみると、IT、不動産、そして政府関係者への人脈というインドビジネス成功の典型例だということが良く分かる。


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