インド経済を読む

2019年6月3日

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野瀬大樹 (のせ・ひろき)

公認会計士・税理士

大手監査法人にて、株式公開支援業務・法定監査業務・内部統制構築業務などに関わったのちに独立し、野瀬公認会計士事務所を設立。インドのニューデリーに、日本企業のインド進出を支援するNAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、代表に就任。日本インドの双方より、日系企業へのコンサルティング業務を行っている。近著に『お金儲けは「インド式」に学べ!』(ビジネス社)がある。

[著書]

 5月23日、インド下院選挙の開票があり、大方の予想通りモディ首相率いるBJP(インド人民党)が勝利、いや圧勝という結果になった。どちらかと言うと保守系に類するモディ政権が長期政権となることはこれでほぼ確実。「安倍一強」と言われる日本の政治状況と似ているかもしれない。とにかく、インドの有権者はモディ首相の政策に一応の「合格点」を与えた形になった。

iStock / Getty Images Plus / Golden_Brown

知られざる「電子政府大国」

 モディ政権は開票前からこの選挙結果に自信を持っていたようで、投票が始まった4月の段階で「モディ政権の次の100日プラン」なるものを発表していた。

 その内容は、インフラの充実や雇用の拡大、環境問題の解決など、ある意味「ありきたり」な項目の多いプランだったが、その中で私の目を引いたのが「政府システムのペーパーレス化・電子化をさらに促進する」という項目だ。

 もともとインド政府はこの方針を「e-Office Model」と名付けていたが、今回このモデルのさらなる拡充、つまり中央政府だけでなく地方政府や窓口にもどんどん拡大すると発表。その手段は徹底しており、10の部門別に51の指標を設け、その進捗具合をモニターし続けるという。そして進捗が遅いと判断すればただちに適切な指導を行うという気合いの入りようなのだ。

 実は、インドは知られざる電子政府大国である。政府への各種申請や税務申告などは原則、必要書類をネット上にアップロードすれば完結する。書類に必要なサインも「電子サイン」。今でもあらゆる書類原本と押印が必要な日本とは大違いなのだ。

 例えば、私たち外国人に必須の外国人登録も電子化により一気に便利になった。以前なら必要書類を準備して朝早くから役所の列に並び、何時間も待って申請しなければならなかったが、この手続きもデリー周辺ではすべて電子化されている。

 もちろん、時には役所から呼び出されて質問を受けるケースもあるが、現地であまり問題を起こさないとされている日本人の場合、ほぼ電子だけで登録を終えることができる。

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