2024年12月23日(月)

インド経済を読む

2019年4月19日

 4月の頭、私は毎月恒例のインド南部ハイデラバードへの出張の日程を調整するために現地のインド人社長に電話をした。

「今度のご訪問ですが4月11日はいかがですか?」

 すると、先方社長は即座に「11日はダメだ。だって選挙じゃないか。うちも会社は休みだよ」とのこと。

 そうだ。2019年4月11日、それは世界最大の選挙、5年に1度のインド下院(ロク・サバ―)選挙が始まるまさにその日だったのだ。外国人であり投票権を持たない私はそれをすっかり忘れていた。

2019年4月11日 インド総選挙(写真:ロイター/アフロ)

「世界最大の選挙」インドで始まる

 インドは13億を超える人口を抱える世界2位の人口大国。そして人口1位の中国と異なり民主主義国家であるため、自動的にインドが「世界最大の民主主義国家」となり、さらにその有権者数は日本の約9倍の9億人といわれている。投票所の数は小さなものも含めるとなんと100万カ所も存在するのだ。

 そのため、選挙は日本よりずっと大がかりだ。

 選挙のスタートは4月11日で最終的な結果が判明するのは5月23日と実に一カ月を超える長丁場。投票日の夜にはほぼ結果が分かる日本の総選挙とは大違いだ。州ごとに投票日が定められており先述のハイデラバードがあるテランガナ州は初日の4月11日、最も注目が集まる首都デリーは5月12日だ。

 余談だがこの投票日は暴動や有権者同志の小競り合いも警戒して「ドライデー」と言われる「お酒が飲めない日」でもある。選挙に対するインド政府の緊張感が伝わってくるようだ。とにかくそれくらいインドの総選挙は「大がかり」な一大イベントなのだ。

 もちろん日本と違い、選挙に関連する暴動や抗議活動、またテロへの警戒など警備面での手続きも必要なので一概には比較できないが、9億人の有権者に一斉投票をよびかけてそれを集計するということの難しさは容易に想像がつくだろう。前回の記事でも書いたがインドの国家運営はまさに「芸術的」なのである。


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