米側にとっての最大の悩みは、配備先
ただ米側にとっての最大の悩みは、配備先だ。
米領グアムのほか当面の配備国として、オーストラリア、日本、韓国などが有力視される。配備予定のミサイルについて、エスパー国防長官も、改良型、新型のいずれも核弾頭を搭載しない「通常型」であることをわざわざ強調したのも、受け入れ国側の国民感情にとくに配慮したからにほかならない。
しかし、たとえ「通常型」であったとしても、日本はこのところ、安倍政権が中国との関係改善に意欲的に取り組み始めており、韓国も文在寅政権が北朝鮮との融和政策に乗り出している時期だけに、かんたんには配備を受け入れにくい状況にある。
こうした中、核弾頭、「通常型」いかんにかかわらず、米軍による中距離ミサイルのアジア配備に猛反発しているのが中国だ。
中国外務省のFu Cong軍備管理局長は5日、「もしアメリカが、アジア地域とくに中国の玄関口にミサイルを配備するならば、中国は座視しない」とする談話を発表、さらに日本、韓国、オーストラリアの名前を挙げた上で「これらの国々は自国領内に米軍中距離ミサイル配備を許すことについては慎重を期すよう促したい」とわざわざクギを刺した。また、配備に踏み切った場合の具体的対応については言及を避けたが「テーブルの上にはあらゆる選択肢がある」と言明した。
ロイター通信が「米国防総省高官」の話として報じたところによると、中国人解放軍は今世紀に入り、インド太平洋方面のアメリカ同盟諸国防衛のために展開する空母機動部隊および米軍基地攻撃を念頭に置いた「超音速ミサイル」などの新鋭兵器開発に力を入れており、「米軍側は今のところ、こうしたミサイルに対処するための防御システムには限界がある」と指摘しているという。