WEDGE REPORT

2019年8月16日

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朴承珉 (パク・スンミン)

在韓ジャーナリスト

在ソウルジャーナリスト。時事通信ソウル支局記者を経て、「文藝春秋」「週刊文春」のソウル特派員。長年、北朝鮮問題をウオッチ。平壌や開城工業団地、板門店、金剛山など7回以上北朝鮮入りして取材。日韓メディアに寄稿している。

ユニクロに買い物を返還しに来ていた男性(29)。今年の旅行先を日本からラオスに変更したという

 筆者は7月19日、ソウル市内のデパートに入店しているユニクロなどを取材した。

 「7月4日ごろから売り上げが急に下がってセール期間中なのに、お客様が40%ほど減少しました。特に20~30代が最も大幅に下落した」(社員) 。

 ユニクロの前にいた女子高生2人に聞くと「私の友達の学校では学生たちが自分で使っている日本の文房具を定められた場所にすべて捨てていると聞きました。私たちも不買運動に賛成しています」と語った。

 また、ユニクロの服を返還しに来たという29歳の男性は「日本が好きなので、今夏に日本に行こうとしましたが、いまの状況で行けなくて東南アジアのラオスに変えました」という。 

 コンビニで会った小学校6学年の生徒は、「学校の社会科の時間に先生が映像(動画)で、いま、韓日間に起きている状況について説明してくれました」とし、友達同士で不買運動しようと勧誘していると話した。

 一方、若者たちは自分が直接書いた手紙をSNS(ソーシャルネットワークサービス)上に載せて不買運動を薦めたりもする。このような提案を互いに書き上げ、一瞬にしてインターネットなどへ広がり、かなりの波及力が発生したようだ。さらに、毎週土曜日の夕方、ソウルの日本大使館周辺では、輸出規制の解除を促し、安倍政権を糾弾する抗議のロウソク集会が開かれている。

「私たちは再び日本に負けない」「決して座視しない」

 このような不買運動が持続的に拡大されているのは、文在寅大統領の安倍政権に対する強い批判が相当影響を及ぼしていると言えるだろう。韓国政府とメディアは、日本の輸出規制措置を「経済報復」と受け止めている。日本の閣議で韓国がホワイト国から除外された当日の午後、文大統領は臨時国務会議(閣議)を開き、「私たちも対抗できる案を持っている。私たちは再び日本に負けない」「決して座視しない」と、強硬な声明を発表した。

 文政権発足後に青瓦台(大統領府)の閣議過程が生中継されたのは初めて。青瓦台の参謀たちも毎日のように、フェイスブックなどで安倍政権を非難し、対抗意志を固めている。文大統領の強力な対応以降、40%代後半だった(文大統領の)国政支持度が50%初まで上昇した。

 大統領直属機関である「国民経済諮問会議」の李済民(イ・ジェミン)副議長は8日、文大統領が大統領府で主宰した諮問会議の全体会議で、「韓国は2次大戦以後世界の自由貿易の秩序に早く便乗して、開発途上国のうち唯一に先進国に変身した。ここには1965年の韓日国交正常化が一部の助けになった」と前置きしたうえで、「当時、日本は韓日間の垂直分業体制を作ってこれを持続しようとしたが、韓国は多くの分野で日本を追い越した」とし、「いま安倍首相の日本はその意図しなかった結果を返ししよう(引き戻そうと?)とするもの」と主張した。

 韓国の経済専門家らの中に、安倍政権が韓国の早い経済成長で日本に追い付こうとするや、いまの米国が中国にやっているような方式で韓国の経済(技術)を押さえつけようとしていると、主張する人がかなりいる。前の国民経済諮問会議の李済民副議長も、同様の趣旨の発言をしたのだ。

「李舜臣将軍が最初の勝利を収めた場所」

 一方、文大統領は、国民に一貫してわかりやすいメッセージを送っている。7月12日、「李舜臣(イ・スンシン)将軍がわずか12隻の船で(16世紀末に日本水軍133隻、または330隻ともいわれる大軍との戦いで)国を守った」と語った。また、先月24日、文大統領は釜山で自治団体長らとの懇談会を「亀甲船の刺身屋」で行った。30日に、南海岸の島を訪問した際に、「李舜臣将軍が最初の勝利を収めた場所だ」と発言した。亀甲船は李舜臣将軍が開発し、日本水軍と戦って勝ったといわれる船である。

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